子宮頚がんワクチン
本稿を書いている19日時点で、国内で新型コロナに感染して亡くなった人は2879人。一方で、毎年約2800人が子宮頸がんで亡くなっているのをご存知ですか?
発症リスクを抑える
子宮頸がんにかかる原因はヒトパピローマウイルス(HPV)への感染です。HPVの治療薬はありませんが、早い段階でワクチンを接種すれば発症リスクは抑えられます。この点、治療薬もワクチンもない新型コロナとは大きく異なります。
ただ、HPVワクチンは国内では悩ましい問題も抱えています。
日本では勧奨されず
HPVワクチンは世界保健機関(WHO)も推奨し、多くの国が使用していますが、日本の厚生省は副作用が疑われることを理由に勧奨には及び腰なのです。この結果、先進国の中で日本だけが接種率が低いという状態が続いています。
一部には、副作用を過大に報じるマスコミの責任を問う声もあります
本庶教授が会見で言及
2018年にノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑京都大特別教授は、授賞式前にストックホルムで開かれた記者会見でこの問題について言及しました。
「子宮頸がんワクチンの副作用は一切証明されていない」「大手マスコミは科学的根拠のない主張だけ報じてきた」「世界で日本だけ子宮頸がんの罹患率が増えている。大きな問題で、大手マスコミの責任は大きい」といった内容でした。
欧米では男子にも接種
そもそも本庶教授の専門は免疫の研究で、子宮頸がんは畑違いの分野。わざわざ会見で触れたのは、科学者としてよほど腹に据えかねるところがあったのでしょう。
HPVワクチンは欧米では男子にも接種されているのです。
セントラルクリニック 院長
村山 一彦(むらやま かずひこ)
山形市生まれ。埼玉医科大学を卒業後、同大病院、篠田総合病院を経て2004年に産婦人科を中心とするセントラルクリニックを開院。社会福祉法人・慈風会の理事長として特別養護老人ホーム「なごみの里」、認可保育所「はらっぱ保育園」も手がける。