山形コミュニティ新聞WEB版

女性の美と健康

ワクチン接種と血管迷走神経反射

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 前回はワクチン接種時の「副反応」についてお話ししましたが、副反応に似た有害事象である「血管迷走神経反射」についてのお話です。

迷走神経が過剰に活動

 迷走神経は副交感神経の代表的な神経です。首、胸部、腹部にまで複雑に走行し、多数に枝分かれしているため“迷走”の名がつけられました。
 この迷走神経がワクチン接種時、過剰に活発となり、全身の血管拡張、血圧低下、場合によっては脳血流の低下で失神してしまう有害事象が血管迷走神経反射なのです。

不安や恐れが原因

 その発症メカニズムですが、ワクチンの成分に起因する副反応とは異なり、ワクチン接種や痛みに対する不安、恐怖、極度の緊張などによってもたらされます。米国のデータによれば、若年層、特に女性の発症率が高いとされます。
 一種の生理的反応ですが、失神して転倒すると頭部打撲による脳障害などの恐れも出てきます。
 また他の人の反応を見て連鎖的に気分が悪くなる「集団発生」の可能性があるのも特徴とされます。

朝礼で倒れるのと同じ

 他に失神を起こす病気との鑑別が必要ですが、注射によってすぐに発症するのはこの血管迷走神経反射と考えられます。学校の朝礼で倒れたり、電車の中で立っていて気持ちが悪くなるのも殆どがこの反射です。

接種時は気を楽に

 ただ、こうした反応の多くは気持ちを落ち着かせて不安を取り除けば症状を緩和できます。仮に症状が出ても、その場できちんと対処してもらえば深刻になることはまずありません。
 心配な方は医師に相談し、楽な姿勢で接種を受けるなどリラックスを心がけましょう。

セントラルクリニック 院長

村山 一彦(むらやま かずひこ)

山形市生まれ。埼玉医科大学を卒業後、同大病院、篠田総合病院を経て2004年に産婦人科を中心とするセントラルクリニックを開院。社会福祉法人・慈風会の理事長として特別養護老人ホーム「なごみの里」、認可保育所「はらっぱ保育園」も手がける。

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