山形コミュニティ新聞WEB版

女性の美と健康

HPVワクチン

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 厚生労働省は昨年11月末、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐワクチンの接種を積極的に勧奨するよう自治体に通知しました。

積極勧奨を巡っては

 実はこれは画期的なニュースです。というのもHPVワクチンは2013年4月に定期接種になりましたが、その2カ月後の6月、厚労省は一転して自治体に対し積極勧奨を控えるよう勧告した経緯があるからです。
 理由は、接種後に体の広い範囲が痛んだり、記憶障害が出たりといった「多様な症状」が報告されたからでした。

1%未満の接種率

 このため、一時は70%だった国内の接種率は1%未満に低下、約80%という英国やオーストラリアなど海外と大きな差がついてしまいました。
 日本が接種を積極勧奨していないことに対し、世界保健機関(WHO)は「若い女性をHPVによるがんの危機にさらしている」と批判する声明を出していました。

厚労省、方針を再転換

 こうした〝時流〟を感じ取ってか、ここ数年は厚労省も方針再転換の時期を探っていたように見受けられます。そしてついに昨年11月末、積極勧奨再開に踏み切ったというわけです。
 同省では「現時点でワクチン接種後に生じた多様な症状と、HPVワクチンとの関連性を示す研究結果は確認されていない」と評価しています。

肝心なのは早期発見

 国内で子宮頸がんで命を落とす人は毎年約2900人にのぼります。ワクチンの積極勧奨再開は明るい話題ですが、接種したからといって100%安心というわけではありません。
 肝心なのは早期発見で、定期的に子宮頸がん検診を受診するよう心がけましょう。

セントラルクリニック 院長

村山 一彦(むらやま かずひこ)

山形市生まれ。埼玉医科大学を卒業後、同大病院、篠田総合病院を経て2004年に産婦人科を中心とするセントラルクリニックを開院。社会福祉法人・慈風会の理事長として特別養護老人ホーム「なごみの里」、認可保育所「はらっぱ保育園」も手がける。

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