山形コミュニティ新聞WEB版

編集長インタビュー

さといもや さとう農園(山形市)社長 佐藤 卓弥さん

Share!

佐藤 卓弥(さとう・たくや)1974年(昭和49年)山形市生まれ。千歳小→市立4中→山形南高を経て東京の大学に進学。情報学を学び、東京でシステムエンジニアとして働く。3年後に帰郷、サトイモの生産・加工・販売を手がける実家のさとう農園へ。16年から社長。19年には「日本一の芋煮会フェスティバル」実行委員長を務めた。49歳。

山形が誇る芋煮文化
  世界との交流の架け橋に

――さとう農園の沿革からお願いします。

サトイモを専業に

 「大正時代、曽祖父がこの地で始めた野菜の行商がルーツです。いろんな野菜をリヤカーに積んで市内を売り歩いていたとか。当時からサトイモだけは洗ったものを販売していて、高級品として人気があったそうです」
 「サトイモ専業のさとう農園を1989年に創業したのは父。その父が病に倒れ、私が2000年に呼び戻されたと」
 「取り扱うサトイモは年間500トン。うち県内産は自社栽培の20トンを含む100トン。旬のものを届けるには産地は移動する必要があり、仕入れ先は東北から九州までのほぼ全国に及びます」
――自社栽培は無農薬にこだわっているとか。
 「14年ほど前に『無農薬のサトイモはないの?』という要望をいただいたのがきっかけでした。仕入れ先の農家さんに相談しても誰も取り合ってくれない。じゃあ自社でやるしかないと」
 「ただ、これが思っていたよりも大変で…(苦笑)。それでも『日本一のおいしいサトイモをつくりたい』という〝虚仮の一念〟で何とか軌道に乗せ、今では自社栽培の全量は無農薬です」
――で、さとう農園といえば巨大地上絵!

17年から地上絵

 「市総合スポーツセンター南東にある約90アールの自社の畑で17年から毎年やってます。17~19年はペルーにあるナスカの地上絵をヒントに描きましたが、その縁で17年にペルーを訪れ、現地の山形県人会の皆さんに芋煮を振る舞ってきました」
 「知りませんでしたが、同年は県人会の発足100周年。現在は4世、5世の方が多いそうですが、皆さん『ずっと本場の芋煮が食べたかった』と感激してくれて」
――いい話ですね。

見えない力に動かされ

 「その時に強く感じたのは、もともとは山形の芋煮文化を広く発信したいと始めた地上絵でしたが、実は自分は見えない力に動かされてるんじゃないかと。山形からペルーに渡り、今は亡き1~3世の人たちの山形への望郷の念が自分に地上絵を描かせ、ペルーまで行かせたんじゃないかと」
――う、涙腺が緩む。
 「でもホントに現地で芋煮を提供するまでには諸問題がいくつもあったんだけど、それらが次々にクリアできて前へ進めたんですよ。まるでモーゼが海を割ったように」

昨年~今年はインド

――地上絵は昨年からはインドをテーマに。
 「2月にインドを訪れ、現地の子どもたちに芋煮を振る舞ってきました。これからも芋煮を通じ、世界各国との交流を深めていきたいですね」

記事閲覧ランキング

  • 24時間
  • 週間