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健康講座・医学のうんちく

男性ホルモンとコロナ

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 テストステロン(男性ホルモン)の低下はメタボリック症候群や糖尿病の原因にもなり、死亡率の上昇が報告されています。コロナ感染における重症化との関連性も指摘されています。

ワシントン大の調査

 米ワシントン大の研究チームは2021年、コロナに感染した男性のテストステロン濃度を調べた結果、重症患者の方が非重症患者より低値だったことを報告しています。また集中治療室入室者、人工呼吸器使用者、死亡者のいずれもが、これらの状態に至らなかった患者より低値だったと報告しています。

セントルイス大の調査

 米セントルイス大の研究チームが22年、コロナに感染した男性723人を調査したところ、116人が低テストステロン状態、180人は男性ホルモン補充療法中、427人は正常なテストステロン状態でした。
 コロナ感染で入院が必要になった低テストステロン男性は116人中52人、ホルモン補充療法男性は180人中29人、正常テストステロン男性は427人中53人でした。

低下はコロナ危険因子に

 また、コロナに感染した抗男性ホルモン治療中の前立腺がん患者32人中18人(56%)に入院治療が必要になりました。入院する割合は、血中テストステロン濃度が一定以下になると急激に上昇しました。
 これらの結果から低テストステロン状態は糖尿病、心臓病、慢性肺疾患などと同様、コロナ感染のリスク因子であることが示唆されました。

補充療法の効果は?

 ホルモン補充療法は男性更年期障害に対して有効ですが、赤血球増加や血液凝固といった副作用があります。広範囲に及ぶ血栓形成がコロナ感染の重症化に影響を与えることから、補充療法が重症化予防に有用であるかは現時点で判断できず、結論が出るにはもう少し時間が必要なようです。

山形徳洲会病院院長

笹川 五十次(ささがわ いそじ)

1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。

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