続・セックスアピール
前回に続きセックスアピールのお話です。
男性のムスクが効果を
脇の下や耳の中、性器部には「アポクリン腺」という汗腺が存在します。このアポクリン腺から分泌された物質が分解・酸化されると低級脂肪酸や男性ホルモンの一種であるアンドロステノンとなります。これが男性の匂いの代表であるジャコウ臭(ムスク)の正体です。
ムスクが空中を飛散して女性の鼻孔の内部にある受容体に捕らえられると、このシグナルが脳の嗅覚情報を処置する箇所を通って感情を創り出す大脳辺縁系に送られます。この時に匂いを快いと受け取り、性的興奮が起きるとされます。
適度な清潔感も必要
ただ、体を洗いすぎたり、脱臭しようとするとこの効果は小さくなります。かといって清潔にしないと皮膚の常在菌と反応していわゆる「ワキガ」が生じてしまいますので、適度の清潔感が良いようです。
異なる遺伝子を求め

スイスのベルン大の研究チームは、男性44人に同じTシャツを2晩続けて着用させ、その匂いを女性に嗅がせてみたところ、女性が心地よく感じた匂いは自分自身と離れた遺伝子型を持つ男性のもので、逆に好みでないとされたのは自分に近い遺伝子型を持つ男性のものでした。
一般的に生物は、自分と異なる遺伝子を持つ相手と交配することでより強い生命力を持った子を残そうとします。女性は免疫力が強く、病気にかかりにくい子が期待できる配偶者を本能的に匂いで察知するのでしょう。
自分の遺伝子を残す
セックスアピールとは魅力的な異性を捕まえようとする遺伝子の努力の表れで、究極のゴールは自分の遺伝子を残すことと考えられます。

山形徳洲会病院院長
笹川 五十次(ささがわ いそじ)
1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医。
