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健康講座・医学のうんちく

キスペプチン

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 読者の皆様は「キスペプチン」という言葉を耳にされたことはありませんか?――。

生殖機能を制御

 キスペプチンとは2011年に発見され、脳の広範囲に分布しているホルモンで、体内で他の生殖ホルモンの分泌を促進することで生殖機能の制御や思春期の発来に中心的な役割を担っています。動物実験では、キスペプチンが性的動機や陰茎勃起などの生殖行動の調整に重要な役割を果たすことが明らかになっています。
 ちなみに名前は米ハーシー社のキスチョコが由来になっています。

投与で高まる性欲

 英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究チームは17年、健康な男性にキスペプチンを投与し、性的な画像を見せたところ、脳内の性的関心に関連する部位の活動量が増大したことを発表しています。 
 また性欲のない男性にキスペプチンを投与すると、テストステロンなど他の生殖ホルモンの分泌の多寡と関係なく性的刺激が高まることを報告しています。
 さらにネガティブな映像を見せても、キスペプチンを投与するとネガティブな感情は抑制される傾向もありました。

異性愛男性の陰茎も硬化

 同チームは今年、異性愛男性32人(平均年齢37.9歳)を対象にキスペプチンを投与し、視覚的性的刺激を与えて様々な反応を探りました。
 その結果、性的脳内処理ネットワークの主要構造における脳活動を有意に高め、陰茎硬度を最大で56%増加させることが分かりました。
 また性的欲求行動が改善され、特に性行為に関する幸福感が顕著に増加しました。

将来は脳のバイアグラ?

 性欲低下障害者に対するキスペプチンを用いた治療はまだ実験段階ですが、近い将来、キスペプチンは「脳に作用するバイアグラ」になるかも知れませんね。

山形徳洲会病院院長

笹川 五十次(ささがわ いそじ)

1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。

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