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未来の男性避妊薬?

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 男性の避妊法としては、コンドーム、パイプカットなどが一般的ですが、前者は適切に使用されなかったり、後者は一度やってしまったらもとに戻すのは難しいという問題がありました。

 そうした中、米コーネル大の研究チームは今年、マウスを使って画期的な男性避妊薬の開発につながる成果を得たと発表しました!

sACの働きを阻害

 同研究チームが着目したのは、精子の運動能力や受精能獲得に不可欠なたんぱく質である「可溶性アデニル酸シクラーゼ(sAC)」の存在でした。sAC遺伝子が欠損したマウスやsAC遺伝子変異を有する男性では不妊になることが報告されています。
 そこで同研究チームは交尾30分前にsACの働きを阻害する化合物を経口投与した雄マウスと、化合物を投与しない雄マウスに分け、避妊効果を比較検討したのです。

2時間後の効果100%

 その結果、投与した雄マウスの精子の運動性はほぼ不動で、2時間後の妊娠率は0%でした。投与しない雄マウスの妊娠率は30%と避妊効果は100%でした。3時間後ではそれぞれ2.2%、24%で、避妊効果は91%、8時間後ではそれぞれ9.1%、41%で避妊効果は78%に低下していました。
 さらに24時間後では投与した雄マウスのほぼすべての精子の能力は正常に戻っていました。

副作用もなく

 また、sAC阻害剤を長期に投与しても交尾行動の変化や異常行動は認められず、精巣や精巣上体を含む主要臓器の肉眼的・組織形態的所見にも異常は認められませんでした。
 同剤の人間への応用はまだ先の話ですが、経口投与型の非ホルモン性男性避妊薬として極めて有望と言えそうです。

今後に期待!

 近い将来、薬局ではコンドームと並んでこの避妊薬が売られているかも知れませんね。

山形徳洲会病院院長

笹川 五十次(ささがわ いそじ)

1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。

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