精子数の減少
デンマークのスカケベック博士が1992年に「過去50年間で精子数が半分になっている」という衝撃の論文を発表して以降、同様の報告が相次いでいます。
相次ぐ報告
米ハーバード大の研究チームが2018年、不妊治療を求める男性936人の精液を調べたところ、精子濃度と総精子数が00年から17年の間にそれぞれ37%、42%減少していました。
また、精子運動率と正常形態精子もそれぞれ15%、16%減少していることが報告されました。
原因究明は困難
精子数の減少傾向は現在も続いており、人類にとって深刻な問題といえるでしょう。この原因としては化学物質、ストレス、喫煙、飲酒、食物、携帯電話の電磁波などが指摘されていますが、いくつもの要因が関与している可能性もあり、究明は困難とされています。
では、どうすれば精子数を増やせるのでしょうか。
ハーバード大の調査
ハーバード大の別の研究チームが13年に実施した調査では、週15時間以上運動する学生は週5時間未満しか運動しない学生に比べ精子数が73%多いことが分かっています。
前述のチームが今年、男性377人を対象に職業と精液との関係を調べたところ、重い物を動かしている男性はそうでない男性に比べ精子濃度、総精子数がそれぞれ46%、44%増加していました。
また、男性ホルモン濃度、女性ホルモン濃度もそれぞれ24%、45%増加していました。女性ホルモン濃度の増加は豊富な男性ホルモンが女性ホルモンに変換されたものと考えられます。
重い物を動かせば?
精子数の減少傾向を抑えるには、重い物を動かせということでしょうか?
山形徳洲会病院院長
笹川 五十次(ささがわ いそじ)
1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。