<荒井幸博のシネマつれづれ>北村匠海

2021年12月24日
バンドに映画に快進撃

 ひところ「子役出身の俳優は大成しない」というジンクスがあったが、近年は池松壮亮(31)、染谷将太(29)、神木隆之介(28)、仲野太賀(28)、伊藤沙莉(27)らがそのジンクスを破って活躍中。北村匠海(24)もその中の一人だ。

 北村は小学3年から芸能活動をスタートさせ、2008年公開の「DIVE!!」で池松壮亮の幼少期を演じて俳優デビュー。以降も岡田将生、小栗旬、松本潤、小出恵介などの少年期を演じることが多かった。
 出世作となった17年公開の「君の膵臓を食べたい」では公開前に相手役の浜辺美波と一緒にインタビューに応じてくれ、その内容は本欄7月28日号でも紹介した。年下で新人の浜辺をフォローしてしっかり受け答えしていたのが印象に残る。

<荒井幸博のシネマつれづれ>北村匠海

 彼はまたダンスロックバンド「DISH//」のリーダー兼ボーカル、ギターを担当している。17年8月にリリースした「猫」(映画「僕たちがやりました」カップリング曲)を20年3月にYouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」で北村がソロ歌唱した動画は、若者らの爆発的な支持を受け、合算累計ストリーミング再生回数は4億回を突破している。
 NHKから三顧の礼で迎えられ、DISH//は結成10年を迎える今年の大晦日、「紅白歌合戦」に初出場する。

 その大晦日に公開されるのが北村主演の「明け方の若者たち」で、原作は人気ウェブライター・カツセマサヒコの同名小説、メガホンをとったのは元女優の松本花奈監督。
 僕(北村)は、大学生活最後に出会った彼女(黒島結奈)に一瞬で恋に落ちるが、希望に燃えて社会人になった僕は理想とは異なる現実を受け入れられない。そしてあれほど燃え上がった彼女との恋も――。
 北村ならではの“普通の若者”を表す繊細な演技を巧みに見せる。北村は来年も重松清原作の同名映画「とんび」で阿部寛と親子を演じるなど、快進撃が止まらない。


<荒井幸博のシネマつれづれ>北村匠海
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜19時)を担当。