《追想録》 弁護士 佐藤 欣哉さん

2020年10月23日
 10月17日、弁護士で市民オンブズマン山形県会議共同代表の佐藤欣哉氏(さとう・きんや)が急性肺炎のため亡くなった。74歳。
《追想録》 弁護士 佐藤 欣哉さん

 1946年、山形県余目町(現庄内町)生まれ。一橋大学卒。72年に大阪で弁護士活動を始め、80年山形市に移った後に「蔵王県境移動事件」の原告弁護団長を引き受けた。
 この事件は63年、山形市の北都開発が蔵王のお釜に通じる観光リフトの建設を計画したところ、競合するリフトの建設を計画していた山形新聞・山形交通(現ヤマコー)グループが秋田営林局に働きかけて山形・宮城の県境を移動させ、北都開発の計画を妨害したというもの。山形営林署と県もこれに加担した。
 翌64年、山形地検は関係者12人を逮捕し、山形営林署長を公務員職権濫用罪で起訴したものの無罪になった。
 それでも北都側の弁護士として国に損害賠償を求める民事訴訟を続け、95年に仙台高裁で県境移動の事実が認められて勝訴した。事件から実に32年後のことだった。
 この年に公金の使途を監視する市民オンブズマン山形県会議を立ち上げ、その後も不正の追及に力を尽くした。著書に「蔵王県境が動く 官財癒着の真相」がある。

(市民オンブズマン 山形県会議 共同代表 長岡 昇)