《おしえて!! 編集長》 上がるの? タクシー運賃
2007年5月11日
山形コミュニティ新聞社のカッシーです。買い物で時々タクシーを利用している祖母から聞いたんですけど、タクシーの運賃が上がるらしいんですって。もし本当ならお年寄りとか、編集長みたいに夜の繁華街でヘベレケになって帰りにタクシーを使ってる人たち大ピンチ! 噂の真相を編集長に聞いてみました。

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そもそも、タクシー運賃ってどうなっているんですか? |
ブロック別に幅設定
「タクシー運賃は県単位じゃなくてブロック単位で運輸局が運賃の改定を認可する。山形県は山形市、上山市、天童市、山辺町の3市1町がAブロック、その他の市町村はすべてBブロックだ」
「2つのブロックで特定大型車、大型車、中型車、小型車ごとにそれぞれ運賃の幅が決まっていて、タクシー会社はこの枠内で運賃を設定する仕組みなんだ」
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各社が自由に選べるわけですね。 |
多い「仲良く一律」
「でも実際にはバラバラじゃない。Aブロックには17のタクシー会社があって、このうち15社は仲良く(?)一律に上限運賃に設定している」
「ページの下の表を見ればわかるんだけど、小型車は初乗り610円だ。違うのは02年の規制緩和後に新規参入した国際タクシー(天童市)、まごころ交通(山形市)の2社だけで、2社とも下限運賃の540円だ」

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で、値上げの話なんですけど。 |
3社が申請の口火
「Aブロックでは1月に第一タクシー(山形市)と蔵王タクシー(同)が東北運輸局に値上げを申請、Bブロックでも1月に今村タクシー(米沢市)が申請した」
「最初の会社が値上げを申請してから3ヶ月間で、同じブロック内の他社も追随して車両総数の70%を超えると、値上げが妥当かどうかを国土交通省が審査することになってる」
70%が超が値上げに同調
「3ヶ月を過ぎた4月末時点でABブロックとも値上げ申請した会社の車両総数は70%を超してる。つまり国の審査基準を満たしちゃったわけだ。申請の内容はいずれも小型車の初乗り上限運賃を690円に上げたいというもの。率にすれば13%強の値上げになる」
「またAブロックでは283メートルごと80円の加算運賃を250メートルごと90円に、Bブロックでは283メートルごと80円を284メートルごと90円に変更したいと言ってる」

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どうなるんですか? |
9月にも値上がり
「昨年夏以降、全国90ブロックのうち51ブロック超、33都道府県から値上げ申請が出ている。このうち長野と大分の両県で4月、先行して値上げが認可された。値上げが認められたのは1997年以来10年ぶりになる」
「国交省は上げ幅を若干圧縮したけど、今後、原則として値上げ申請は順次認可する見通しなんだ。山形では9月ごろ値上げになりそうだね」
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エー! そもそも、どうして値上げしなきゃならないんですか? |
経営悪化が主因
「タクシー会社はどこも燃料費の高騰と運転手の労働条件の改善を理由にしてる。特に歩合で働く運転手の収入は全産業平均を下回っていて、05年度の平均賃金は302万円と5年前から約1割減ってるらしい。運転手の収入が低いのは利用者の数が減り、会社の経営が苦しくなっているかららしいんだけど…」
県内、廃業や営業休止も
「実際、県内でも3年前に業界最古参の寺尾タクシー(新庄市)が廃業したのを皮切りに、鳥海観光タクシー(遊佐町)、東南タクシー(天童市)の計3社が廃業や営業休止に追い込まれてる」

利用者さらに減少?
「でも運転手の待遇改善はわかるけど、利用者が減ってるのに値上げっていうのもなあ。実際、タクシー会社を管轄する国交省は値上げに理解を示してるけど、経済産業省なんかは『もっと経営努力が必要』って苦言を呈している」
「第一、値上げして利用者がさらに減る可能性がある。そうなれば運転手の待遇改善どころか会社の経営がますます苦しくなってくる」
値上げ見送り組も
「いい質問だね。Aブロックでは国際タクシー、まごころタクシーの新規参入2社は据え置きを決めてる。15社の値上げ幅がどこまで認められるかは現時点では不透明だけど、現行70円の料金格差が100円以上に広がる可能性が強い」
激戦区は酒田市
「面白いのはBブロックの酒田市。酒田市にはタクシー会社が6社しかなくて、うち2社が新規参入組。中でも酒田スワンタクシーがかなりのシェアを持ってて、客を奪われることを恐れてスワン以外の会社は値上げ申請できないらしい」
「つまり、酒田市が属するBブロックの上限運賃は上がるんだけど、酒田市のどこの会社も上限運賃には設定しないという事態になるわけだ」
望まれる競争原理
「県単位でみれば、山形はまだ新規参入がそれほど多くないから値上げになりそうなんだけど、東北では宮城、岩手の2県が競争激化から値上げが見送られる見通しだ」
「やっぱり競争原理が働かないとね。仙台市なんか、車両総数3700台のうち1000台以上が新規参入組だぜ。マーケット規模が違うって言われればそれまでだけど、どう考えても、山形って、どっかに問題があるんだと思うよ(苦笑)」
「でも運転手の待遇改善はわかるけど、利用者が減ってるのに値上げっていうのもなあ。実際、タクシー会社を管轄する国交省は値上げに理解を示してるけど、経済産業省なんかは『もっと経営努力が必要』って苦言を呈している」
「第一、値上げして利用者がさらに減る可能性がある。そうなれば運転手の待遇改善どころか会社の経営がますます苦しくなってくる」
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県内の全部のタクシー料金が上がっちゃうんですか? |
値上げ見送り組も
「いい質問だね。Aブロックでは国際タクシー、まごころタクシーの新規参入2社は据え置きを決めてる。15社の値上げ幅がどこまで認められるかは現時点では不透明だけど、現行70円の料金格差が100円以上に広がる可能性が強い」
激戦区は酒田市
「面白いのはBブロックの酒田市。酒田市にはタクシー会社が6社しかなくて、うち2社が新規参入組。中でも酒田スワンタクシーがかなりのシェアを持ってて、客を奪われることを恐れてスワン以外の会社は値上げ申請できないらしい」
「つまり、酒田市が属するBブロックの上限運賃は上がるんだけど、酒田市のどこの会社も上限運賃には設定しないという事態になるわけだ」
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新規参入組みは庶民にとっては頼もしい存在ですね。 |
望まれる競争原理
「県単位でみれば、山形はまだ新規参入がそれほど多くないから値上げになりそうなんだけど、東北では宮城、岩手の2県が競争激化から値上げが見送られる見通しだ」
「やっぱり競争原理が働かないとね。仙台市なんか、車両総数3700台のうち1000台以上が新規参入組だぜ。マーケット規模が違うって言われればそれまでだけど、どう考えても、山形って、どっかに問題があるんだと思うよ(苦笑)」