真理子先生の女性のミカタ/禁煙のススメ
女性ホルモンに悪影響
女性の方に禁煙を強くお勧めする第一の理由は、喫煙により女性ホルモン(エストロゲン)の産生が減ってしまうことです。
女性の膣はエストロゲンと、膣に常在する「デーデルライン桿菌」の働きで自らきれいにする自浄作用を持っています。喫煙でエストロゲンの産生が減ると膣が様々な病原体に感染しやすくなります。子宮がんの原因ヒトパピローマウイルスにも感染しやすく、子宮がんに近づく変化も起こりやすくなります。

月経トラブルにも
さらに、タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させて冷え性の原因になるほか、卵巣の働きを弱めて月経不順や月経痛など様々な月経トラブルを引き起こします。
低用量ピルが使えず
辛い月経困難症の治療として、低用量ピルでの治療が健康保険で可能なのは御存知ですか。出血が減り痛みが軽くなるばかりか、最近では月経を毎月起こさなくて済む治療用ピルも人気です。
ただしタバコは血栓症ができやすくなる低用量ピルの副作用を何10倍も高めます。35才以上で1日15本以上の喫煙者は残念ながら低用量ピルが飲めない禁忌になります。
若い方でもタバコと低用量ピルの相性は最悪。命懸けで薬を飲むことはないでしょう。もちろん禁煙したらすぐ飲めます。
禁煙治療を!
女性は1度タバコを吸い始めたら男性より止めにくいとされます。最初の1本に絶対手を出さないで。今タバコを吸っている若い女性は1日でも早く止めて欲しいもの。
35才未満の女性はやる気があるだけで禁煙治療が健康保険で受けられます。ぜひ御相談下さい。


伊藤真理子
●(いとう・まりこ) 1986年山形大学医学部卒業。山大病院、篠田病院を経て2005年6月に真理子レディースクリニックを開業。日本産婦人科学会認定産婦人科専門医。