内科あれこれ/過敏性腸症候群

2019年9月27日
 受験や試合、大切な商談や面接などを前にすると必ず便秘や下痢になるという人がいます。それは医学的にいうと「過敏性腸症候群(IBS)」と呼ばれる病気です。

患者数1200万人!

 IBSは腸に炎症や潰瘍(かいよう)などがないにも関わらず、腹痛を伴って便秘や下痢といった便通異常が繰り返す病気を指します。2008年の調査によると、国内の推定患者数は約1200万人に達しています。
 症状別では便秘型、下痢型、両方が合わさった混合型があり、女性は便秘型、男性は下痢型が多いのが特徴です。

内科あれこれ/過敏性腸症候群

原因はストレス

 IBSの原因はストレスです。腸の運動は自立神経でコントロールされていますので、ストレスが原因で自律神経が乱れると便通異常が生じてしまうのです。
 なのでストレスのない日常を過ごすのが1番の治療法なのですが、症状が頻繁で生活にも支障をきたすようなら治療も必要になってきます。

処方される薬は?

 その治療ですが、便秘型のIBSではリナクロチドという薬を処方します。この薬は腸内への水分の分泌を促して便を軟らかくする一方、粘膜の知覚過敏を和らげて痛みを抑えます。
 下痢型のIBSにはラモセトロンという薬を処方します。この薬はセロトニンという神経伝達物質を抑えて腸管の動きを抑制します。

年配者の場合は?

 IBSは主に若い人がかかる病気ですが、似たような症状が年配者に起こることがあります。原因はストレスではなく腸内細菌の変化という説もあり、先ほど述べた薬が効かないこともあるようです。特効薬の開発が待たれるところです。


内科あれこれ/過敏性腸症候群
きくち
きくち内科医院 院長
菊地 義文
(きくち・よしふみ)1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。