もう怖くない認知症/アロマテラピィー

2009年10月9日
 今回は「匂い」が持つ認知症への効果をご説明しましょう。脳(大脳辺縁系(だいのうへんいけい))には匂いを感知する扁桃(へんとう)核(扁桃体)という部位があり、ここは人の好き嫌いを判断する部位でもあります。つまり認知症を考える上で重要な部位なのです。

匂いで扁桃核を刺激

 扁桃核に匂いによる良い刺激を与え、認知症患者をリラックスさせようという方法が「アロマテラピィー」です。これまでに眠れないとか強いストレスがあるとかいった方に効果があることがわかっています。実際にためされた方もいらっしゃると思います。

もう怖くない認知症/アロマテラピィー

有効なラベンダーオイル

 この効果をきたす主な成分のひとつはアロマオイルのなかの「酢酸リナリル」という物質で、脳波を用いた研究などからこの酢酸リナリルを多く含むラベンダーという種類のオイルにその作用が強く示されることが分かってきました。

他の患者とも相乗効果

 実際、行動や感情に障害をきたしやすい認知症患者に1日数回ラベンダーのアロマオイルを使用したところ、驚くほど笑顔が多くなり、攻撃的な行動も少なくなりました。
 他の患者さんから「いいにおいですね」と話しかけられて笑顔で返す姿が見受けられますが、この時、よく見ると話しかけた方も一緒に微笑んでいることに気付きます。おそらくはこのアロマの作用が患者さんだけでなく、周りの方にもよい刺激となっていて、相乗的によい効果を引き出しているのではないかと考えられます。
 
広がる良い感情

 お互いの扁桃核、つまり脳に同時に良い刺激が入り、その結果として良い気分を共有していることが患者さんの感情や行動の障害に良い変化をもたらしているのかもしれません。


もう怖くない認知症/アロマテラピィー
藤井 昌彦(ふじい・まさひこ)
秋田県能代市生まれ。1983年弘前大学医学部卒業。山形県立河北病院などに勤務後、99年に医療法人東北医療福祉会理事長。日本老年医学会、日本認知症ケア学会に所属。東北大学医学部臨床教授も務める。