《おしえて!編集長》 どうなるの?大沼再生

2018年1月12日
 百貨店の大沼(山形市)が、投資ファンドの支援を受けて経営再建を目指すというニュースが報じられています。発表によれば、大沼は売上高の減少が続いていて、自力での再建は難しいと判断したとか。JR山形駅前の十字屋山形店は1月末で閉店しちゃうし、山形では百貨店の経営は成り立ちにくくなっているのかしら。今回のニュースを巡るあれこれ、編集長に聞いてみました。
《おしえて!編集長》 どうなるの?大沼再生

ニュースには驚きました。

 売上高減、4年連続赤字 

 「そうだね。大沼は1700年に七日町で創業した荒物屋が起源で、百貨店を経営する企業のルーツとしては1611年の松坂屋、1673年の三越に次いで全国でも3番目の老舗。山形市七日町と米沢市に店舗があり、2000年には約200億円の売上高を記録していた」
 「だけど、その後は郊外に続々と誕生する大型店や仙台市の商業施設に客足を奪われ、近年はネット通販などの台頭もあって直近の売上高は約85億円まで落ち込んでいたようだ。しかも4年連続で赤字だったらしい」

十字屋山形店もそうですが、やっぱり山形では百貨店は難しいと。

 逆風の地方百貨店 

 「山形だけじゃなくて地方の百貨店はどこも同じさ。都市部の百貨店は外国人を呼び込んで復調の兆しもあるみたいだけど、地方だとそんな恩恵もないしね。お隣の100万都市・仙台にしてからが、JR仙台駅前で『さくら野百貨店仙台店』を運営していたエマルシェが昨年2月に経営破たんしてる」

でも大沼には〝助っ人〟が現れたわけですよね?

 看板、雇用は継続? 

 「東京のマイルストーンターンアラウンドマネジメント(MTM)という投資ファンドが、事業スポンサーとして出資を含む経営支援を行う旨の覚書を大沼と締結した。今後、経営再生計画を策定した後に経営権を握るとみられるが、『大沼』の看板は残し、従業員の雇用も継続するらしい」

よかった、よかった。

 「ただね、さっきも言ったように地方の百貨店を取り巻く環境は厳しいわけだ。MTMは再生の手法として『地元業者との連携による食品の強化』『地域商工者や商店街との連携による集客増』などを挙げてるけど、何となく漠然としてるよね」

《おしえて!編集長》 どうなるの?大沼再生

 ヤマトヤシキ、赤字拡大 

 「それにマスコミ各社は『MTMは他にも再生を手がけている』と他人事みたいにタレ流してるけど、調べてみると他での再生はどうも苦戦してるようなんだな」
 「大沼と同じような業態だと、2014年から経営支援を始めた兵庫県姫路市の百貨店・ヤマトヤシキは売上高の減少に歯止めがかからず、17年2月の決算は120億円の売上高に対して10億円の赤字だ」
 「支援に乗り出す以前の過去4年の赤字が年間4000万~6億5000万円だったから、赤字は大幅に増えたことになるよね」

 ななっく、4期連続赤 

 「またMTMは11年に経営破たんした青森市の百貨店・中三(なかさん)の盛岡店を引き継ぎ、12年から『Nanak(ななっく)』として営業してるけど、14年から17年まで4期連続で年間2000万円台の赤字を計上している」

そうだったんですね。

 「地方の百貨店以外では、過去に手がけたジーンズメーカーのボブソン(東京)は3年で民事再生法の適用を申請してるし、山形にも縁の深いゴルフクラブ製造・販売の本間ゴルフ(同)や、家電量販店のラオックス(同)は再生を果たせないまま中国企業に売却している」

……。

 MTMの戦略は? 

 「MTMの早瀬恵三社長は1958年生まれの59歳。東大経済学部卒業後、住友銀行に入行し、SMBCコンサルティングなどを経て2005年に同社を設立したとか」
 「電話取材を申し入れたところ、耳の痛い内容にもかかわらず1時間近く応じてくれるし、過去や現在に手がけた再生事業が必ずしも満足のいくものではないことも認めるしで、それはそれで好感が持てたんだけど…」
 「早瀬氏によれば、MTMの現在の基本戦略は地方の再生とか。彼の理念なり主張なりを要約すると『地方の崩壊は日本の崩壊につながる』『地方には再生余地がある』『再生には長期的な視点が必要』といったあたりなのかなあ」

 お手並み拝見 

 「でも話が高邁(こうまい)すぎて俺みたいな凡人には『?』なところも多々あるし、早瀬氏自身も認めるように投資ファンド業界では異端児らしい」
 「ただMTMはそういう会社なわけで、知ってか知らずか支援先にMTMを選んだのは大沼、というよりメーンバンクの山形銀行だ。外野の俺たちは〝お手並み拝見〟としか言えないよね」