女性の美と健康/更年期障害(2)
関節痛のケースも
その席でも更年期障害のお話をさせていただきましたが、聴衆の方々が最も驚き、また経験された方も多かったのが、更年期障害がもたらす関節痛の症状でした。
このことを知らない方は「関節痛→整形外科で診てもらう」と考えがちですが、整形外科でいろいろ検査してもらった結果、更年期障害と診断され、そこから婦人科を紹介されるといったケースも多いものです。

エストロゲン欠乏に起因
もちろん、関節痛だけでなく更年期障害には様々な症状があり、代表的なものに発汗、ほてり、動悸、のぼせ、頻脈などがあります。
更年期に入ると女性ホルモンであるエストロゲンが欠乏し、血管を拡張させる物質が過剰に分泌されることによってこれらの症状が引き起こされます。
命に関わる病気
また更年期障害は精神的な症状を併発する場合も多く、中にはうつ病になる人もいます。
これらは脳内神経伝達物質であるドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンの分泌バランスの崩れが原因とされ、更年期障害によるうつ病で自らの命を絶つ方もいらっしゃいます。「更年期障害は命に関わる病気」とも言われる所以です。
やっかいな精神的症状
冒頭に挙げた関節痛、発汗、ほてりなどはエストロゲン欠乏による血管運動発作であり、ホルモン療法や漢方薬治療などによりある程度の症状緩和は可能です。
「更年期障害は克服した」というのは、低エストロゲン状態に身体が慣れたというのに過ぎず、精神的症状の方がやっかいかもしれません。


セントラルクリニック院長
村山 一彦
プロフィール
●(むらやま・かずひこ)1956年山形市生まれ。埼玉医科大学を卒業後、同大、篠田総合病院を経て2004年に産婦人科を中心とするセントラルクリニックを開院。社会福祉法人・慈風会の理事長として特別養護老人ホーム「なごみの里」、認可保育所「はらっぱ保育園」も手がける。