<荒井幸博のシネマつれづれ> キングスマン

2015年10月9日
スパイ・アクションの秀作

 ロンドンにある高級スーツ店「キングスマン」。その実態はどこの国にも属さない世界最強のスパイ機関のアジト。高級服地ドーメルの生地で仕立てたスーツをスタイリッシュに着こなすハリーはキングスマンの敏腕スパイ。組織を束ねるアーサーの指揮のもと、日夜秘密裏に活動している。

<荒井幸博のシネマつれづれ> キングスマン

 ハリーは17年前、同僚が自らを犠牲にすることで命を救われた。その同僚の遺児で陰ながら成長を見守ってきたエグシーをキングスマン候補生としてスカウトする。エグシーは他のエリート候補生とともにテストを受けるが、キングスマンになれるのは1人だけ。テストは過酷で命を落とす者もいるほどだった。
 一方、頻発(ひんぱつ)する科学者や有名タレントの失踪事件の首謀者が前代未聞の人類抹殺(まっさつ)計画を進めていた――。

 ハリーを演じるのは「英国王のスピーチ」でアカデミー主演男優賞に輝いた演技派、コリン・ファース。意外にもキレキレのアクションを見せてくれる。
 キングスマンの指揮者アーサーを昔懐かしい「国際諜報局」のマイケル・ケイン、エグシーを新星のタロン・エガートンが演じる。エガートンは大健闘、天性の運動神経の良さと爽(さわ)やかな二枚目半ぶりが好感を持てる。
 両足の先が鋭利な刃物という美貌の人間殺人兵器でヴァレンタインの助手兼愛人役のソフィア・ブテラにも目がクギづけになった。

 手に汗握るノンストップアクションだけでなく、「マイ・フェアレディ」を想起させる若者の教育・成長物語としても楽しめる。
 開けば防弾シールドになり、マシンガンにもなる傘、ライター型手榴弾、先端からナイフが出る靴などスパイの小道具も楽しい。

 今年は「ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション」「キングスマン」「コードネームU.N.C.L.E.」「007/スペクター」などスパイ映画花盛りです。


<荒井幸博のシネマつれづれ> キングスマン
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜夜15時)を担当。