知っていそうで知らない基礎知識/栗井任吾博士(くりいにんごはかせ)のクリーニング講座

2015年3月27日
 めっきり春めいて、これまでお世話になったコートやジャンパー、冬物スーツなどの出番も減っていきそう。そんな冬物衣料のクリーニングについて、今回も斯界の第一人者とされる栗井任吾博士に解説していただきました。
3/27

 ウォッホン!今年もワシの出番か。そもそも日本には暑さ・寒さの変わり目に合わせた「衣替え」という習慣があったんじゃよ。その時期は4月と10月。
 ただ昨今は地球温暖化の影響や、ほぼ年間を通して使える素材の登場などにより、制服の衣替えが話題になるのは6月に限られているような…。
 つまり昔のような春夏物、秋冬物の分け方ではなく、酷暑の夏物と、それ以外の春秋冬物という分け方に変わっているというわけじゃ。

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汚れは早めに落とすべし

 とは言え、コートやジャンパー、厚手のスーツはこれからは不用。ワシが気にかけているのは、若い人を中心に「これまで着ていた衣服」ではなく「これから着る衣服」をクリーニングに出す傾向じゃ。
 これはクリーニングの出し方としては適切とは言えん。なぜなら汚れは日数が経つにつれて定着し、落ちる汚れも落ち難くなってしまうんじゃ。
 クリーニングの要諦はこれからお世話になる衣服ではなく、これまでお世話になった衣服の汚れをしっかり落とすことだと心得るべし。

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家庭でドライクリーニング!?

 最近はドライマークの衣類が洗える洗剤が売り出され、「ドライコース」のボタンがある全自動洗濯機も多いようじゃな。
 ただ、これらを使えば家庭でもクリーニング店と同じ仕上がりが期待できるわけじゃないんじゃよ。
 水を使わず、汚れを落とす特殊な溶剤と専用の洗濯機を使って洗うのがクリーニング店のドライ式。家庭用の洗濯機では水を使った洗濯しかできないわけで、つまり「ドライマークのついた衣類が洗える」ということに過ぎないのじゃ。

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品質表示タグを要チェック

 ところで衣類の裏側には、色々な情報が記されたタグが縫い付けられておる。中でも注目は「洗濯表示マーク」。このマークは日本工業規格(JIS)で書き方が決められておって、どんな洗濯をしたらよいのか教えてくれるんじゃ。
 クリーニング店の店員さんも必ずチェックするこのマークを上の表にまとめたので、ぜひ覚えてほしい。
 そして、お気に入りの一着、思い出の一着を末永く大切にしてくれたまえ。

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