<荒井幸博のシネマつれづれ> 英国王のスピーチ
2011年4月8日
史実に基づく感動作
あがり症の人は大勢の前で話すのを避けたがるもの。だが、避けられない立場の人もいる。
吃音症の英国王子
この映画の主人公、英国王ジョージ5世の次男アルバート王子はあがり症どころか吃音症(きつおんしょう)で、原稿を読むことさえままならない。だが厳格な父親は容赦せず、アルバートに様々な式典でのスピーチを命じる。コンプレックスに悩むアルバートを支えるのが妻エリザベスだった。
吃音症の英国王子
この映画の主人公、英国王ジョージ5世の次男アルバート王子はあがり症どころか吃音症(きつおんしょう)で、原稿を読むことさえままならない。だが厳格な父親は容赦せず、アルバートに様々な式典でのスピーチを命じる。コンプレックスに悩むアルバートを支えるのが妻エリザベスだった。

心ならずも王位を継ぐ
彼女は何人もの専門医に夫を連れて行くことを繰り返し、スピーチ矯正の専門家ライオネルに出会う。彼はこれまでの権威あるドクターとは異なり、王子だからといってアルバートを特別扱いせず、愛称で呼び、禁煙を命じた。
ジョージ5世の死後、王位は長男のデイビッド王子が継ぐが、彼は離婚歴のあるアメリカ人女性との恋に生きるために王位を捨てる。兄に代わってアルバートが心ならずもジョージ6世として王位を継ぐのだった。
言語聴覚士との二人三脚
彼は些細(ささい)なことでライオネルと袂を別っていたが、国王の座に就いて改めてライオネルの必要性を痛感、自ら訪ねて頭を下げる。そこから2人の間に友情が芽生え、二人三脚でのスピーチ特訓が始まるのだった——。
コンプレックスを克服しようとする男とそれを献身的に支える妻の夫婦愛の物語。また、ジョージ6世とライオネルの身分の違いを超越した友情の物語としても胸打たれる作品だ。
オスカー4部門に輝く
今年2月28日開催の第83回アカデミー賞授賞式に於いて、作品賞、主演男優賞、監督賞、脚本賞の主要4部門を受賞。ちなみに脚本賞のD・サイドラーも10代までは吃音に悩まされ、それを克服している。
主人公ジョージ6世は現在のエリザベス2世の父にあたる。

荒井幸博(あらい・ゆきひろ)
1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。
1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。