<荒井幸博のシネマつれづれ> てぃだかんかん~海とサンゴと小さな奇跡~

生まれ育った沖縄の海が大好きな健司は幼なじみの由莉と結婚し、サンゴのあるバーを開いて大成功を収める。だが沖縄の美しいサンゴ礁が乱開発や温暖化で全滅しかけていることを知った健司は店を閉鎖すると宣言、サンゴ礁の再生に全てを賭ける決意をする。健司の前に立ちはだかる漁協の反対、学会のバッシング、膨大な借金——。
サンゴ礁再生がテーマ
養殖サンゴの移植・産卵に世界で初めて成功した金城浩二さん夫妻と周囲との人間模様を映画化した作品。金城さん役はナインティナインの岡村隆史で、映画を観るまではミスキャストと思われたが、ハマり役だった。先日、李闘士男監督と春名慶プロデューサーにお会いし話を伺った。

岡村隆史がハマリ役
李監督は2年前の5月に金城さんと出会って前向きな人柄や生き方に惹かれて映画化を思い立ち、金城さん役は岡村しかいないと確信したとか。8月に春名プロデューサーに企画を持ち込み12月に岡村サイドに出演を依頼。映画化には翌年5月のサンゴ産卵場面の撮影が不可欠。タイムリミットが近づく中で翌年2月、諦めかけていた岡村承諾の知らせ。ここから映画化が走り出す。
「映画の神様の配剤」
妻役に松雪泰子、母親役に原田美枝子、漁協組合長役に國村隼と続々と主要キャストが脚本に共感して参加。そしてクランクイン。監督はこの配役を「映画の神様の配剤」と言い表し、人の出会いによって最高のたすきリレーが出来たと語っていた。
スーパーマンでもなんでもない一人の男の一途な想いが周りの人を突き動かし、世界で誰もやっていないことを成し遂げた事実に勇気が湧いてくる。

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。