山形コミュニティ新聞WEB版

セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》第170回 大高根中学校(村山市)

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 統合に統合を重ね、村山市の中学校は今では2つになってしまったが、かつては市内各地に中学校が点在し、地域の子どもたちに出会いと学びの場を提供していた。

《セピア色の風景帖》第170回 大高根中学校(村山市)

 市内でも特に豪雪地帯を抱える大高根中は昭和34年に山ノ内中と富並中の統合によって誕生したが、冬季の交通の便に配慮して寄宿舎も備えていた。廃校間際には70数名しかいなかった生徒数も、昭和30年代後半には400名を大きく超えていたという。
 木造モルタルづくりの校舎は豪雪の中でも暖かく明るいイメージを持たせるためか、壁面は全体的に桃色に塗られており、屋根の緑色と相まって小さいながら存在感のあるものとなっていた。
 冬には窓ガラス保護のため雪囲いの木枠が打たれることも地域性を表していた。各種大会で優秀な成績を収める生徒も多かったようで、学校の壁面には誇らしげに受賞を称える垂れ幕がしばしば掲げられていた。

 ただ生徒数減少は学校の家族的雰囲気をもたらすものの、競争意識が植え付けられないという指摘も受け続けた。財政削減のため市が大ナタを振るうことになり、平成15年度を最後に大高根中は戸沢中、葉山中と統合され、新葉山中となって今に至っている。
 地域と学校の密接な繋がりは統合のたびに薄らいでいく。(F)

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