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片頭痛の新薬

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 3月12日号でもご紹介した新しい片頭痛予防薬「CGRP関連抗体薬」が4月から発売され、早や半年が経過しました。

CGRPの働きを抑制

 おさらいになりますが、片頭痛の従来の予防薬は降圧剤や抗うつ薬など他の病気で使われている薬を〝転用〟したものですが、新薬は片頭痛を誘発するホルモン(CGRP)にターゲットを絞って片頭痛の発生を抑制するものです。
 片頭痛は、CGRPが三叉神経や脳を包む硬膜上にある受容体と結合し、痛みが引き起こされると考えられており、新薬はCGRPの働きをブロックして片頭痛が起きないようにする予防薬なのです。

対象患者さんは?

 CGRP関連抗体薬はあくまで片頭痛用の薬であり、どんな頭痛にでも効果があるわけではありません。日本頭痛学会では (1)18歳以上 (2)以前からある予防薬を飲んでも片頭痛が平均4日以上ある人――が対象と定めています。
 国内ではブロックの仕方により抗CGRP抗体製剤の「エムガルティ」「アジョビ」と、抗CGRP受容体抗体製剤の「アイモビーグ」の3種類が使用可能です。

患者さんの反応

 使ってみた患者さんの反応ですが、全国的に「片頭痛の回数が減った」「痛みが軽減された」「頭痛の心配から解放された」など評判は上々のようです。
 ネックは3種類の薬価はいずれも1本4万円以上で、3割負担としても1万3000円前後と比較的高額なこと。それでも使用した患者さんの多くは4カ月目以降も注射の継続を希望され、費用対効果は比較的良いのではないかと思われます。

専門医に相談を

 新薬の登場で片頭痛は予防できる時代になったともいえるでしょう。片頭痛に悩んでいる方や、従来の薬が効かなかった人は専門医に相談してみてはいかがでしょうか。

TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師

佐藤 篤(さとう あつし)

2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。

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