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片頭痛(下)

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 片頭痛の治療には主に急性期治療と予防治療の二つがあります。

急性期治療

 急性期治療は、頭痛が起きた時に薬を内服して痛みを取り除くことが目的です。薬には市販薬である鎮痛剤のほか、処方薬のトリプタン、ラスミジタンなどがあります。

 薬を内服して2時間以内に痛みが消失していれば効果ありと判定されますが、だからと言って制限なく内服を続けると頭痛が悪化することがあるので注意が必要です。

予防治療

 これに対し、予防治療はあらかじめ薬を内服して頭痛が起きないようにするのが目的で、国際頭痛学会では片頭痛が月5日以上ある場合は予防療法を推奨しています。

 この予防薬として4年前、「CGRP関連抗体薬」という画期的な新薬が登場したことはこれまでにも何度か紹介しました。この薬はCGRPという片頭痛の原因物質を抑え込むことで痛みを遠ざけるもので、75%の患者さんに効果があることが知られています。

新薬の効果は未浸透?

 今年明らかになった2023年時点の報告によれば、患者さんが選択する片頭痛治療は急性期治療が中心で、84%の人が処方薬ではなく市販薬で対応していることが分かりました。また予防療法が必要と考えられる人で、実際に予防療法を受けている人は25%ということも分かりました。

 また医師からCGRP関連抗体薬の説明を受けた人は24%にとどまっており、薬の効果が十分に浸透していないことも明らかになりました。

快適な生活のために

 CGRP関連抗体薬は頭痛の専門医師だけが処方できる薬です。

 片頭痛でお悩みの方は、痛みを事前に防ぎ、快適な生活を続けることができるよう、最寄りの頭痛外来を受診されることをお勧めします。

TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師

佐藤 篤(さとう あつし)

2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。

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