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ワクチン接種と頭痛

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 日本でも新型コロナワクチンの3回目の接種が医療従事者から始まっています。今回は副反応のひとつ、頭痛についてお話ししましょう。

慶大の調査から

 慶応大の研究チームは昨年8月、米ファイザー社製ワクチンを接種した171人を対象に「健常者」「片頭痛を有する者」「それ以外の頭痛を有する者」の3群に分けて頭痛への影響を調査した結果を公表しました。
 それによれば、ワクチン接種後に頭痛が生じた人は健常者で37.9%、片頭痛持ちが69.2%、片頭痛以外の頭痛持ちが71.4%でした。
 この調査で、普段から片頭痛や片頭痛以外の慢性頭痛がある人は健常者と比較して、ワクチン接種後に頭痛が生じやすいことが分かりました。

1週間以上続く場合も

 またワクチン接種から頭痛が生じるまでの時間は、1回目では10時間後が多く、2回目では12時間後が目立ちました。
 頭痛の持続時間は1回目では4.5時間、2回目では8時間が多いと報告されています。
 多くは2~3日で頭痛は改善しているようですが、当院の頭痛外来では1週間以上も頭痛が続く人がいるのも事実です。

その時の治療法

 ワクチン摂取後の頭痛への対策は、もともと頭痛がない人では副反応として発熱を伴うことも多いため、アセトアミノフェンやその他の解熱鎮痛剤を服用し、しっかりと栄養、水分を摂ることが大切です。
 頭痛持ちの人で、解熱鎮痛剤を服用した後も頭痛が続く場合は、普段使っているトリプタン製剤などを内服しても問題はないと思います。

事前に相談を

 今回の慶大の調査は若年女性が多かったため、ただちに幅広い年代に当てはまるとは限りません。ただ頭痛持ちの方は、事前にかかりつけの先生と対処について相談した方がいいでしょう。

TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師

佐藤 篤(さとう あつし)

2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。

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