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片頭痛に新治療薬

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 新しいタイプの片頭痛予防薬が登場して話題を呼んだ昨年に続き、今年は画期的な片頭痛治療薬が登場することになりそうです!

昨年は新予防薬が

 昨年登場した片頭痛予防薬は「CGRP関連抗体薬」と呼ばれるもので、従来の予防薬が降圧剤や抗うつ薬など他の病気で広く使われている薬を〝転用〟していたのに対し、片頭痛を誘発するホルモン(CGRP)にターゲットを絞って片頭痛の発症を抑制する新タイプの新薬でした。
 使ってみた全国の患者さんの反応は「片頭痛の回数が減った」「痛みが軽くなった」と好評のようです。

その名はレイボー錠

 CGRP関連抗体薬は予防薬ですが、今年登場するのは頭痛発作時に服用する治療薬「レイボー錠」で、片頭痛の痛みのシグナルに関係するセロトニン1F受容体に作用し、頭痛を改善します。
 これまで片頭痛の治療薬としては「トリプタン製剤」が使用されてきましたが、問題点として(1)血管収縮作用がある (2)頭痛は改善するものの副作用で内服の継続が困難 (3)頭痛が完全に消失しない場合がある――などが指摘されていました。

米国では承認済み

 これに対しレイボー錠は血管収縮作用がないため、脳梗塞や心筋梗塞などの既往がある方でも使用可能です。臨床試験では副作用はトリプタンよりも少ないと報告されており、トリプタンが使えなかった方にも期待できそうです。
 米国では2019年に承認を取得済みで、「頭痛消失率が高い」「頭痛が再発しない」「即効性がある」といった効果が報告されています。

患者さんには朗報

 実際に処方できるのは数カ月先になりそうですが、抗CGRP関連薬にレイボー錠も加わり、片頭痛診療の進歩は4半世紀に1度の大変革期を迎えているといっても過言ではないと思います。

TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師

佐藤 篤(さとう あつし)

2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。

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