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薬物乱用頭痛

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 頭痛の種類で最も多いのが「緊張性頭痛」、次いで「片頭痛」ですが、3番目に多い頭痛は何でしょうか?

3番目に多い頭痛

 正解は「薬物乱用頭痛」で、文字通り薬剤を使いすぎることでかえって症状が悪化してしまう頭痛です。
 これまで日本人の男女約8000人を対象にしたアンケート調査で、緊張型頭痛は14.7%、片頭痛は8.9%とされてきましたが、新潟県の糸魚川総合病院、糸魚川市らが実施した調査で薬物乱用頭痛の割合が2.3%と第3位になることが初めて明らかになりました。

鎮痛剤の使いすぎで

 これまで薬物乱用頭痛を抱えている患者さんに関する調査はありませんでした。
 今回の調査では、薬物乱用頭痛は女性が80%を占め、原因となる薬剤は鎮痛剤だったことも分かりました。また、本来必要とされる予防療法を受けている患者は7%に過ぎないことも明らかになりました。

幅広い層の患者

 「乱用」の目安としては、薬剤を月10回以上服用しているケースが想定されています。多いのは(1)働き始めたばかりでストレスを抱えている若者 (2)仕事や育児に追われている中高年 (3)軽度の認知機能障害や不安を抱えている高齢者――の3つのパターンです。
 年代別では差がなく、幅広い層の人が薬剤の使いすぎで頭痛を悪化させてしまっています。

予防療法が有効

 薬物乱用頭痛の治療は、原因薬剤の中止と予防薬の投与の2つの組み合わせが最も治癒効果が高いとされています。
 予防薬としては、片頭痛がベースにある患者さんでは抗CGRP関連薬も即効性があります。
 適切な治療で頭痛を軽減できますので、頭痛で悩んでいる方は一度専門機関で治療をお勧めいたします。

TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師

佐藤 篤(さとう あつし)

2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。

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