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脳フィットネス

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  人生100年時代、いつまでも自分らしく生きるためには、体だけではなく脳の健康も重要です。今回は運動で脳を活性化させ、健康な脳を保つ「脳フィットネス」のお話しです。

記憶力を向上させる

 脳内で記憶や学習を司るのは「海馬(かいば)」という部位ですが、海馬は老齢期になると細胞が衰え、記憶障害や認知症を引き起こします。 
 海馬細胞の活性化に欠かせないのが、脳内にある「脳由来神経栄養因子(BDNF)」というホルモンです。BDNFは運動することで放出が増え、海馬に働きかけて記憶力の向上や認知症の発生リスク減少に役立つことが分かっています。

神経伝達物質にも作用

 運動した後は爽快感や達成感を感じるものですが、脳科学的にも運動が脳内の神経伝達物質に好影響を及ぼすことが知られています。
 GABAは精神の安定、セロトニンは幸福感、 ドーパミンはやる気と集中力につながります。 実際、抗うつ剤の多くはこれら神経伝達物質を調整するものです。 
 仏教には、肉体と精神は不可分のものであるという「身心一如(しんしんいちにょ)」の教えがありますが、運動が脳によく健全な精神を養うことは脳神経科学的にも実証されています。

慢性頭痛へ効果

 精神的ストレスや肩こりなどが誘引となる緊張型頭痛も、運動で痛みの軽減が期待できます。また4647人の片頭痛患者を対象にした研究では、運動習慣のある人の方が、ない人より頭痛発作の頻度が少ないことが報告されています。

WHOも推奨

 世界保健機関(WHO)の試算では、1週間に150~300分程度の有酸素の身体活動を推奨しています。推奨量を満たしていない場合でも、ある程度の身体活動により健康効果が得られます。

TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師

佐藤 篤(さとう あつし)

2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。

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