片頭痛(上)
片頭痛患者さんの数は約1000万人ともいわれ、中には慢性的な痛みに悩まされている方もいらっしゃいます。片頭痛の中でもこんな症状は「慢性片頭痛」と呼ばれています。
慢性化することも
慢性片頭痛になると、ほとんど毎日のように頭痛が生じ、以前は効いていた薬もだんだん効かなくなってしまいます。この状態になると、日常生活にも支障をきたすようになり、不登校や休職・退職のきっかけになったりもします。
また自分だけでなく、家族への影響も生じてきます。パートナーとの関係が悪化したり、子育てにおいては、子どもとの約束が果たせない、子どもに家事をさせる、子どもの学校の成績が低下するといった影響も報告されています。
治療も改善せず
いったん慢性化してしまうと、治療を行っても約30%の方は改善しないといわれています。こじれてしまうとそこから抜けられなくなってしまう可能性があるのです。
慢性化の原因は様々ですが、頭痛日数が多い場合や鎮痛剤を服用している場合に慢性化しやすいとされます。頭痛が月に5~9日なら約6倍、月に10~14日なら約20倍、鎮痛剤の服用が月に10日以上なら約20倍、いずれも慢性化のリスクが高まると報告されています。
「こじらせない」が基本
以前にご紹介したように、2021年に片頭痛発作の発症を抑える「抗CGRP抗体薬」が国内で承認され、片頭痛治療は大きな変化を遂げましたが、片頭痛の治療はまずはこじらせないようにするのが基本です。
予防治療の勧め
そこにある痛みを取り去ることも大切ですが、生活に支障が出ている場合は、予防療法を行って片頭痛頻度を減らすことを心がけましょう。
TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師
佐藤 篤(さとう あつし)
2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。