山形コミュニティ新聞WEB版

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脳震盪

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 今回は誰もが何となく知っているはずの「脳震盪(のうしんとう)」に関するお話です。

様々な症状が

 脳震盪は一般的には「運動などをしていて頭を打った時、意識障害などの症状があらわれるもの」と認識されているようですが、国際スポーツ脳震盪会議の最新の診断基準では、外傷を受けたことを覚えていない、意識消失、頭痛、バランス障害、情緒不安定、無気力、集中力の低下などの症状も含まれます。

脳震盪後症候群

 脳震盪は子どもの方が大人より長く続き、多くの場合、大人では1週間、子どもでは1~2週間ほどで改善します。
 ただ場合によっては数カ月も長引くこともあり、大人で10~14日以内、子どもで4週間以内に回復しない場合は「脳震盪後症候群」と呼ばれています。
 初期症状が重篤なほど長期に症状を及ぼす場合が多いことが知られています。

子どもに顕著

 カナダからの報告では、脳震盪と診断された子ども2000人の経過を見ると、510人(約25%)が脳震盪後症候群と診断されました。
 さらに脳震盪後症候群と診断された子どもたちは3カ月後まで身体症状、認知機能低下、うつ、行動の変化などが見られたとしています。

医師に相談を

 このため、スポーツ競技中などに頭部に外傷を受け、脳震盪が疑われる場合は、競技への参加は見合わせることが大切です。症状が消失していたとしても、医師の診察なしに運動に復帰させてはならないとされています。
 また脳震盪後症候群も運動再開には慎重さが求められ、急いで再開することで症状が悪化することもあります。頭部に外傷を受けた場合、お近くの脳外科医に相談されることをお勧めします。

TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師

佐藤 篤(さとう あつし)

2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。

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