女性の頭痛(上)
「月経の度に酷い頭痛に襲われる」という女性の声をよく耳にします。
月経関連片頭痛
こうした頭痛はお腹や腰の痛みなどと同様に月経前症候群(PMS)と思われがちですが、多くの場合、それは違います。頭痛は月経によって誘発された片頭痛の可能性が強く、この場合は「月経関連片頭痛」と呼ばれています。
実際に、女性の患者さんがどんなタイミングで片頭痛が起きているかを調べた研究の結果では、「月経の2~3日前から月経中」と「排卵日周辺」に多くみられることが分かっています。
エストロゲンが影響
そのメカニズムですが、片頭痛は女性ホルモン(エストロゲン)が低下する時期に起きやすいと言われています。エストロゲンは月2回、月経前と排卵期に低下することが知られています。
エストロゲンが低下すると、脳内の神経伝達物質のバランスが崩れ、頭の血管が拡張することで片頭痛が起きるとされています。
痛みが強く、長期化も
厄介なことに、月経関連片頭痛は他の片頭痛に比べて痛みが強く、持続期間も長くなる傾向があります。市販の鎮痛薬を飲んでも効果がなかったり、その日はよくなっても、翌日にぶり返すことがあります。
冒頭でお話ししたように、女性片頭痛患者に対するアンケート調査では約80%の人が月経関連片頭痛をPMSと認識しており、「仕方がない」とあきらめている人が多いようです。
メカニズムを知れば
月経関連片頭痛は毎月やってきます。そのメカニズムを知っておけば、早めに薬を飲んだり、頭痛を誘発する飲酒やストレスを避けたりするセルフケアも可能です。病院での治療で痛みを和らげることもできます。
症状のある方は専門医に相談されることをお勧めします。
TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師
佐藤 篤(さとう あつし)
2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。