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女性の頭痛(中)

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 ここ数年、妊娠・出産前の女性やカップルに健康管理を支援する「プレコンセプションケア」が注目されています。今回はプレコンセプションケアの観点から片頭痛についてお話ししましょう。

進む晩婚化と晩産化

 女性の社会進出や生活洋式の変化で晩婚化が進んでいます。厚生労働省の調査では、女性の平均初婚年齢は1980年の25.2歳から2021年は29.5歳と4.3歳高くなっています。
 それに伴い晩産化も顕著で、第1子出産時の母親の平均年齢が80年は26.4歳だったのに対し、21年は30.9歳まで上昇、過去最高を記録しています。

女性に多い片頭痛

 前回号でもお話ししたように、片頭痛は特に20~40代の女性に多く、まさに現代の女性の結婚・出産時期と重なります。当院の外来にも「片頭痛のため妊娠・出産のことまで考える余裕がない」と悩んでいる方が何人かいらっしゃいます。

プレコンセプションケア

 こうした女性の片頭痛患者さんに対するプレコンセプションケアとしては、(1)妊娠・授乳期の治療について情報を提供する(2)妊娠・出産の希望があるかどうかを確認し、投薬の調整を行う (3)妊活に向け予防薬の調整を行う (4)妊娠・授乳中の管理について話し合っておく (5)すでに薬物療法を行っている場合は対処法を指導する――などが挙げられます。

早めに向き合いましょう

 一般的には妊娠中や授乳中は薬の内服は避けた方が望ましいと考えられていますが、片頭痛は日常生活に支障をきたす強い頭痛のため、内服薬なしで対応するのは難しいのも事実です。
 ガイドラインなどで安全性・有効性が確認されている治療法も幾つかありますので、頭痛で悩んでいる方は将来の出産も考え、早めに頭痛と向き合うことも大切ではないでしょうか?

TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師

佐藤 篤(さとう あつし)

2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。

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