女性の頭痛(下)
女性の頭痛の3回目は、閉経に差しかかった時期の頭痛についてお話しします。
閉経時期と片頭痛
日本人の平均閉経年齢は約50歳ですが、個人差が大きく、早い人では40歳代前半、遅い人では50歳代後半に閉経を迎えます。 閉経前の5年間と閉経後の5年間とを併せた10年間が更年期です。
片頭痛は男女ともに30歳代にピークを迎え、40歳以降は減少します。30歳代の女性で片頭痛の有病率は約30%ですが、閉経後は約10%と3分の1まで減少します。ただ50歳以降も頻繁に片頭痛に襲われる人が多いのも事実です。
ホルモン変動と薬物
その理由としては、更年期には女性ホルモン(エストロゲン)の変動幅が大きくなることの影響や、更年期障害の治療に用いられるホルモン補充療法にエストロゲンが含まれていることなどが考えられます。
また、当コラムでも何度か取り上げている「鎮痛剤の乱用」により、本来は片頭痛が減少する年齢になっても頭痛が続いている人も多くいます。
適切な対処を
女性の片頭痛は症状が強く、持続時間も長いため、どうしても薬剤乱用につながりがちですが、薬剤乱用性頭痛になってしまうと治療に難渋するものです。
片頭痛は女性のライフステージでダイナミックに変化する病気です。治療は症状が起きた時に鎮痛剤で対処するだけではなく、頭痛を起こさなくする予防薬も選択肢に入れておくべきでしょう。
治療は早いうちから
お勧めしたいのは、10~30歳で片頭痛にお悩みの方は、早い時期に専門機関を受診し、適切な時期に正しく頭痛に対処することは大切です。現在の生活の状況に合わせ適切な治療を行うことで頭痛を軽減できることもあります。
頭痛で悩んでいる方は一度専門機関で治療をお勧めします。
TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師
佐藤 篤(さとう あつし)
2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。