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片頭痛(上)

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 片頭痛は代表的な頭痛ですが、その疫学や治療状況に関しては十分な研究が行われていないとの指摘もあります。

約2万人に調査した結果

 埼玉精神神経センターの坂井文彦医師らは昨年、片頭痛の有病率や治療状況を明らかにするため片頭痛患者約2万1000人を対象に実施したオンライン調査の結果を発表しました。
 それによれば、(1)有病率が最も高いのは30~39歳 (2)女性の有病率は男性の4.4倍 (3)医師の診断を受けていない割合は81% (4)80%以上は市販薬を使用し、処方薬を使用していた患者は4.8% (5)症状が重いと考えていた患者は53% (6)73%が日常生活に中~重度の影響を受けている――などが明らかになりました。

単なる頭痛と片づけず

 坂井医師らは「革新的な治療アプローチが利用可能になることに併せ、片頭痛は単なる頭痛ではなく、診断や治療が必要な疾患であることを啓発していく必要がある」としています。
 実際、当院の外来で初めて片頭痛と診断がつく人や鎮痛剤以外の治療法を初めて知ったという声が多いのも事実です。

患者さんの声

 ある患者さんの声を紹介しましょう。
 「30年以上も片頭痛に苦しんできました。片頭痛は世間に理解されにくく、痛みがあっても辛いと言えず我慢をする日々。人知れず片頭痛に苦しんでいる人たちを理解して優しい言葉をかける、そんな社会になって欲しいと思います」。

医師と二人三脚で

 片頭痛の回数や頭痛の強さは個人差があり、また同じ人でも仕事や出産などのライフイベントを契機に変化していくのが特徴です。適切な対策を行い、慢性化を予防することが大切です。
 健やかな社会生活を送るためにも、医師と患者さんとが二人三脚で片頭痛に向き合っていきましょう。

TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師

佐藤 篤(さとう あつし)

2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。

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