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片頭痛(下)

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 日本人の約1割が症状を持ちながら約8割は未治療、もしくは市販の鎮痛薬で対処しているのが実態の片頭痛ですが、2年前の新薬の登場で片頭痛治療は様変わりしています。

CGRP関連抗体薬

 従来の予防薬は高血圧などの他の疾患に使う薬を片頭痛に〝転用〟したもので、特別な薬剤ではありません。薬代は安価ですが、治療効果は十分とは言えず、長期にわたる内服で副作用の心配もありました。
 これに対し、2021年に承認された新薬の「CGRP関連抗体薬」は、片頭痛の原因とされるホルモン(CGRP)を直接ブロックすることで片頭痛が起きないという明確なメカニズムを持っています。

保険適用、副作用も〇

 従来の予防薬は連日服用する経口薬ですが、新薬は月1回の皮下注射ですみます。保険適用で、副作用の心配も少ないというメリットがあります。
 新薬が使える人は (1)片頭痛と診断された人 (2)従来の予防薬で効果がなかった人 (3)従来の予防薬で副作用があり継続が困難な人――などの条件があり、処方できるのは専門医に限られます。

他の頭痛には効かず

 新薬を使用した75%の患者さんが「頭痛日数が半分まで減少した」と回答するなど、非常に有用な治療薬です。
 最近ではインターネットやSNSでも話題になり、クチコミで受診される人も増えています。ただ、新薬はあくまで片頭痛に対する治療薬で、他の頭痛には使用できないことをお忘れなく。

快適な日常のためにも

 新薬の登場により片頭痛は〝我慢する〟ものではなく、〝予防できる〟時代になりました。
 「片頭痛持ちだから仕方がない」と諦めている方はいらっしゃいませんか? 快適な日常を過ごすためにも、お近くの頭痛専門医を受診することをお勧めします。

TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師

佐藤 篤(さとう あつし)

2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。

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