山形コミュニティ新聞WEB版

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脳の健康と生活習慣

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 脳は体全体の司令塔です。ほぼすべての臓器の活動をコントロールしている脳の機能が衰えると、身体活動も精神活動もスムーズに運ばなくなります。

脳が衰えると…。

 マサチューセッツ工科大学の「加齢に伴う知能の変化」に関する研究では、記憶力は18歳、集中力は43歳、新しい情報を得て理解する能力は50歳にピークを迎えると報告しています。
 米疾病対策センターによると、60歳以上の米国人の8人に1人が記憶力の低下を感じており、うち35%の人が脳の働きに何らかの問題があると報告しています。

7つの生活スタイル

 2017年に米国心臓学会は、認知症や認知機能の低下を防ぐために、7つの生活スタイルを提唱しました。
 具体的には①血圧の管理②コレステロールの管理③血糖値のコントロール④健康的な食事⑤運動 ⑥標準体重の維持⑦禁煙――です。 
 実際にフランス国立保健医学研究所などが調査したところ、この7つの生活スタイルを実行している群は心臓、血管といった循環器の健康状態が良好で、認知症の発症リスクも低いことが分かりました。

社会との交流も大切

 7つの生活スタイルの順守に加え、脳の健康を保つためには社会的な交流を保つことも有効です。社会生活の場で他人との交流、集団に参加していくことで、神経細胞ネットワークを強化できると考えられます。

脳の健康を維持するため

 認知症との関連が認められたリスク因子は、いずれも生活習慣の改善により修正が可能です。それぞれは当たり前のことだと思われるかもしれませんが、全て取り組んでいる人がどれだけいるでしょうか?
 不健康な生活スタイルを持つ人は、ご自分の生活を見直して、ひとつでも多く改善することをお勧めします。

TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師

佐藤 篤(さとう あつし)

2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。

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