ウイルス干渉
賢明なるやまコミ読者の皆さまは、「ウイルス干渉」という言葉をご存知ですか?
椅子取りゲーム
ウイルス干渉とは、あるウイルスが流行すると他の種類のウイルスの流行が妨げられるという現象です。ウイルス同士は宿主の取り合いをしていて、椅子取りゲームに例えれば分かりやすいでしょうか。
あるウイルスが椅子を取ってしまう(感染する)と、他の種類のウイルスは椅子に座れない(感染できない)というわけです。
インフルエンザ流行せず
実際、新型コロナが猖獗(しょうけつ)していた昨シーズンの全国インフルエンザ患者数は推計1.4万人で、全国約5000カ所の定点医療機関からの報告に基づく現在の調査手法になった1999年以降、最も少なかったとか。
世界的に見ても昨シーズンはインフルエンザの流行は見られず、世界保健機関(WH0)も6月に公表した資料でそのことを認めています。
RSウイルスは大流行
もちろん、マスクの着用や手洗いの励行、移動の制限や在宅勤務などソーシャルディスタンスの確保といった各国の新型コロナ対策がインフルエンザにも効果を発揮した面はあるのでしょう。
ただウイルス干渉の可能性も捨てきれません。というのもインフルエンザの流行が抑えられた半面、昨年夏にはほぼ流行が見られなかったRSウイルスが今年の夏には乳幼児に大流行しているのです。まさに椅子取りゲームですね。
同時接種をお忘れなく
とはいえ、大切なのは新型コロナとインフルエンザの同時流行を避けること。そのためにもコロナワクチン接種を終えた方はインフルエンザワクチン接種もお忘れなく。
セントラルクリニック 院長
村山 一彦(むらやま かずひこ)
山形市生まれ。埼玉医科大学を卒業後、同大病院、篠田総合病院を経て2004年に産婦人科を中心とするセントラルクリニックを開院。社会福祉法人・慈風会の理事長として特別養護老人ホーム「なごみの里」、認可保育所「はらっぱ保育園」も手がける。