脳の健康と運動
脳にとって最高のトレーニングは何でしょうか?パズルやクイズなどが思い浮かぶかもしれませんが、様々な研究からは「運動」こそが最も効果的な脳トレだということが分かっています。
認知症予防に運動を
人間の記憶をつかさどる脳の「海馬」は25歳以降は小さくなっていくとされてきました。それが近年、運動によって海馬はむしろ大きくなることが分かり、「認知症予防には適切な運動が有効」という意見が多数を占めるようになっています。
運動の効果は大人だけでなく、子どもの学力にも関係しています。同じ授業を受けても、毎日体育を行った子どもの方が週2回行った子どもより成績が良いことが各国で報告されています。
子どもの場合、運動で高まる能力は記憶力だけでなく、集中力、読解力、決断力、想像力など多くの脳機能が向上することが分かっています。
ストレス軽減にも
運動すると気分が爽快になることは多くの人が経験しているはず。運動にはストレスホルモンである「コルチゾール」の分泌を抑える効果があり、運動を習慣化すればストレスがあってもコルチゾール分泌がわずかしか上がらなくなります。
また、運動は抗うつ剤と同等の効果があるとされ、うつの治療ではそれ以外の治療に比べて再発リスクが低いという研究結果もあります。
運動は副作用がない最良の薬と言えます。
週3回の朝のランニング
では、どれぐらいの運動が好ましいかというと、「週3回、朝のランニングを45分以上」を一つの目安にしましょう。ちょっと息が切れるくらい心拍数を上げるのがポイントで、疲労を感じるほどの運動は逆効果になるのでご注意を。
レッツ運動!
仮に5分の運動でもまったく意味がないわけではありません。楽しいと思える運動から脳トレを始めてみませんか?
TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師
佐藤 篤(さとう あつし)
2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。