片頭痛の新薬
2年前に新たな片頭痛の治療薬「CGRP関連抗体薬」が承認されたことは以前にも紹介しましたね。今回はCGRP関連抗体薬の治療効果についてのお話です。
効果が出やすい人は?
獨協大の報告では、反復性片頭痛(症状が月14日以下)の人が3カ月服用した場合、頭痛日数が半減した人が62%、1年服用した場合は92%でした。
一方で、慢性片頭痛(頭痛が月15日以上)の人が3カ月服用した場合、頭痛日数が半減した人は39%、1年使用した場合は63%でした。
このことから、頭痛日数が少ない患者さんがより薬の効果が期待できることが分かりました。
望まれる予防療法
服用には医師の処方が必要で、投与できるのは片頭痛の人のうち①過去3カ月以上の頭痛日数が1カ月に4日以上ある②従来の内服予防薬で効果がない③副作用で従来の薬が継続できない――などに限られます。
ただ欧州では新薬はすでに予防薬の第一選択になっています。日本でのデータからも頭痛日数が多い人は効果が乏しいことが分かっており、今後は頭痛日数が多くなる前に早期に使用していくことが望ましいと考えられます。
QOL維持を諦めず
患者さんへのアンケート調査では、2人に1人が片頭痛のために家族との時間を犠牲にしている、人との約束を遠ざけてしまうと回答しています。
片頭痛は命に関わる病気ではありませんが、QOL(生活の質)を壊す病気といえます。新薬の登場で片頭痛は「我慢する」ものでなく「予防できる」時代になったといえるでしょう。
頭痛外来受診のススメ
頭痛があることが当たり前になっていて、頭痛を我慢しながら日常生活を送っている方は、頭痛が起きて当たり前の生活を一緒に変えていけるように頭痛外来の受診をおすすめいたします。
TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師
佐藤 篤(さとう あつし)
2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。