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日本人と勃起障害

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 日本性機能学会は昨年、20~79歳の日本人男性6228人を対象に実施した「性機能障害の全国実態調査」の結果を報告しています。

ED、1400万人!

 それによれば、勃起障害(ED)の有病者数は推定約1400万人で、25年前の前回調査より約300万人増えていました。年齢別有病率は、50歳以上が41.7%、60歳以上が49.5%、70歳以上が59.9%でしたが、20~24歳でも40~44歳と同程度でした。

SHIM調査では8割

 自分がEDであることを認識していない男性が少なからず存在するため、勃起機能問診票(SHIM)を用いて評価したところ、「重度ED」は52.8%、「中等度ED」12.9%、「中等度~軽度ED」は5.4%、「軽度ED」は9.9%、「EDでない」は19.0%でした。

 ED患者は81.0%で、人口換算で3658万人と推計されました。

セックスレスは7割

 もっとも、SHIMでは5つの問診中3つで「性交を試みなかった」を選択するといずれも0点になるため、健康な恋人や夫婦の間で1カ月以上性交渉がないセックスレスでは「重度ED」に分類される可能性があります。  

 今回の調査でセックスレスは全体の70.4%で、加齢とともにその割合は増加しました。20歳代でも40%前後と高い割合を示しました。

治療は浸透せず

 勃起の硬さスケール(EHS)を用いて評価したところ、陰茎の硬さが挿入に不十分であるグレード0~2が30.9%、挿入に十分な硬さであるグレード3~4が69.1%で、EDの有病数は1400万人と推計されました。

 ただEDの治療経験者は1.4%しかおらず、治療希望者は7.1%でした。ED治療のハードルはまだまだ高いことも分かりました。

山形徳洲会病院院長

笹川 五十次(ささがわ いそじ)

1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。

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