相続の基礎知識/(15)相続放棄と相続税

2022年5月13日
 前号は「相続放棄」全般についてのお話でしたが、今号では相続放棄と相続税との関係を解説していきましょう。

通常、相続税は発生せず

 まず相続放棄をした本人は、預貯金や不動産などプラスの財産(資産)は受け取れず、借金などマイナスの財産(負債)も引き継ぐ必要はありません。継承する財産がない以上、当然、相続税は発生しません。ただ、相続放棄をしても相続税が発生することがあります。

相続の基礎知識/(15)相続放棄と相続税

例外はみなし相続財産

 それは「みなし相続財産」を受け取った場合です。みなし相続財産とは生命保険金、死亡退職金を指し、これらは相続放棄しても受け取りが可能です。
 注意が必要なのは、みなし相続財産には「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があり、この金額以内なら相続税は発生しませんが、相続放棄した人はこの非課税枠は使えません。
 また、相続放棄をしても、遺言がある場合は財産を引き継ぐことができます。

他の相続人への影響

 一方、相続税には「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」という非課税枠がありますが、法定相続人の中に相続放棄した人がいる場合もこの枠は変わりません。
 しかし相続放棄をした人がいると、放棄した相続財産が他の相続人に分け与えられることになり、それにより当然、相続税にも影響が出ます。

必要な場合は相続税申告を

 結論から言えば、相続税の計算に際しては、相続放棄をした人がいても放棄がなかったものとみなされます。
 つまり通常通り相続税の計算をして全員分の相続税の金額を算出しますが、相続放棄をした人でも取得した財産があれば、それに応じた相続税を負担することになりますので、相続税申告が必要になります。


相続の基礎知識/(15)相続放棄と相続税
10/8

鈴木僚税理士事務所
税理士 鈴木 僚

(すずき・りょう)1988年(昭和63年)山形市生まれ。2018年に税理士資格取得。趣味はドライブ。