医学のうんちく/コロナと性ホルモン

2021年8月27日
 最近の研究では、コロナ感染における罹患率、重症化率、死亡率などはいずれも男性が女性を上回っているようです。

低い女性の重症度

 中国の研究チームは、閉経前の女性は男性より重症度が低く、閉経後の女性では男性と同様の重症度であると報告しています。閉経後は女性ホルモンのエストラジオールが低下、重症度が高くなるとも報告しています。
 また、女性ホルモンのプロゲステロンは免疫細胞に作用し、局所・全身性炎症を制御すると考えられています。マウスを用いた実験では、プロゲステロンの投与で肺の炎症が抑制され、肺胞上皮細胞の修復が促進されることが示されています。

医学のうんちく/コロナと性ホルモン

有効なプロゲステロン

 米シダーズ・サイナイ医療センターは、コロナに感染し、酸素療法を要する男性42名のうち20人にプロゲステロンを投与、22人には投与しませんでした。投与群は非投与群と比べ、7日目までに臨床症状が明らかに改善されました。
 また投与群は、非投与群より酸素療法を必要とした日数が3日短く、入院日数も2.5日短くなりました。退院した患者の割合は投与群76%、非投与群55%で、コロナに感染した男性に対してはプロゲステロン投与が効果的な治療になりうることが示唆されています。

重症患者の濃度は低く

 米ワシントン大の研究チームがコロナに感染した男性76人を対象にエストラジオールとテストステロンを測定したところ、入院時のテストステロン濃度は重症患者が非重症患者を下回っていました。
 また、集中治療室入室者、人工呼吸器使用者、死亡者のいずれもこれらの症状に至らなかった患者よりも低値でした。テストステロン濃度の低さが重症化の原因の可能性が指摘されています。
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 ただ女性ホルモンと男性ホルモンのいずれが重症化に関与しているかの結論が出るには時間が必要なようです。

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医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。