医学のうんちく/コロナワクチン(下)

2021年8月13日
 mRNAワクチンは細胞に取り込まれてから数時間から数日で分解され、作られたたんぱく質も2週間以内に分解されます。体内に残らないことから長期的な副反応は想定されていません。

生殖機能に影響なし

 米マイアミ大学の研究チームは、18~45歳の健康な男性45人を対象に、1回目のmRNAワクチン接種前と2回目の接種から約70日後に精液検査を実施しました。
 ワクチン接種前後で精液所見に悪影響はなく、精液量、精子濃度、運動率、運動精子数は増加していました。接種前に8人が精子数が少ない「乏精子症」でしたが、接種後に7人は精子数が正常域まで増加しました。無精子症になった男性はいませんでした。
 症例数が少なく、追跡期間が短いことから評価には限界がありますが、mRNAワクチン接種による生殖機能への影響は少ないと考えられます。

医学のうんちく/コロナワクチン(下)

ラットでも同様

 また、mRNAワクチンをラットに接種した実験では、ワクチンの多くが接種した部位に集まり、摂取部位以外では肝臓に多く集まりますが、精巣や卵巣にはほとんど到達しませんでした。
 ラットにmRNAワクチンを接種した後に交配し妊娠させた実験では、ワクチン接種群と非接種群で妊娠率、出産数に差を認めませんでした。

妊婦も大丈夫

 米国疾病予防管理センターは、ワクチン接種後に妊娠を完了した827人について、流産、早産、胎児の発育遅延、先天奇形、新生児死亡が起きる割合がワクチン非接種妊婦と変わらないことを報告しています。

学会も太鼓判

 これらのことから婦人科系3学会(日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科感染症学会)はワクチン接種への不安を解消するための声明を発表、「mRNAワクチン接種で不妊や流産になる科学的根拠はない」としています。


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山形徳洲会病院院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。