精英堂印刷(米沢市)

2007年4月13日
「技術」「環境」で躍進
精英堂印刷(米沢市)

 米沢市八幡原に本社を置く精英堂印刷は独自色の強い経営ビジョンを持つ企業だ。

ひと味違う経営ビジョン

 通常、印刷業は限られた地域の官公庁や生活産業に密着した営業活動を展開するが、同社はひと味違う。東京営業所を置いて関東地方など地域外の需要を確保し、事業基盤を固めている。地域密着と言うより「製品開発型企業密着」とでも表現した方がいい業態だ。
 印刷の対象は日本酒のパッケージ、ラベルから、弱電製品、化粧品、食品、DVDのパッケージ、ラベル、取扱説明書にまで及んでいる。
 同社の強みは、高級感のある多色刷りのラベルや箱の印刷にある。

精英堂印刷(米沢市)

日本酒の美装箱で成長
 
 大正4年に米沢市で創業した同社は、東京の早稲田に進出、戦後米沢に移転した歴史を持つ。昭和20年代に洋服箱のパッケージ会社と合併してから、箱物の印刷に強みを持つようになった。
 昭和40年代には、酒箱に進出し、美装箱を東北6県に出荷し、業績を伸ばしていく。かつては売上の80%が酒のラベルと箱であり、多色の特殊印刷で事業基盤を築く。
 だが平成4年の税制改変後、趣向の多様化もあり、かつての日本酒の二級酒市場が消失していくという逆風に直面した。
 市場のボリュームゾーンを失うという緊急事態に登場したのが現社長の鈴木髙明氏(写真)だ。
 現在、同社は酒類への依存度を25%程度まで低下させ、顧客を多様化させている。

精英堂印刷(米沢市)

水なし印刷への挑戦
 
 新規顧客を獲得する際も、価格競争に陥りやすい一般的な印刷物ではなく、多色刷りの難しい仕事を受注するよう努力してきたのが同社の特徴。鈴木社長が就任以来トップダウンで取り組んできたのが「水なしオフセット印刷」と呼ばれる高精細印刷技術だ。
 通常の水と油の反発力を利用するオフセット印刷に比べ、水で境界線がにじまない特性を持つ。そのためマイクロ文字も鮮明に見える。
 高精細な印刷のエラーが少なくなるので、トータルコストが抑えられるほか、汚水を流さないので環境にも優しい。
 売上が落ちる中で、鈴木社長が「水なし印刷」の設備投資を決断したことが、同社の現在の復調につながっている。水なし印刷の機械は全国で125社が保有し、東北では同社の独壇場となっている。全国的に見ても、パッケージやラベルに特化しているという点で同社の独自性は高い。

精英堂印刷(米沢市)

統合的な差別化戦略の必要性
 
 パッケージに土地勘があることと、高精細印刷技術に積極投資してきたことで、二つの差別化ポイントがあるところが強みといえるだろう。
 今後はこの強みを正当に評価してくれる顧客に深く食い込むことがカギになる。単なる営業活動にとどまらず、多数顧客のビジネスプロセスに深く食い込むことで三つ目の差別化ポイントが出来上がる。
 現在、同社は複数の差別化ポイントを統合的に発揮する戦略の基礎を固めていくべき段階にあると思われる。

全国レベルの可能性も

 高精細の仕事を多品種少量、短納期でこなし、製品開発型企業が集積する関東圏を中心に三桁の優良コア顧客のビジネスプロセスに食い込む。スポット顧客の裾野を広げ、その中からコア顧客をつかんでいく。
 この体制が実現できたなら全国レベルの優良企業になりうる可能性がある。

■精英堂印刷株式会社
・社長   鈴木髙明 氏
・所在地  米沢市八幡原1‐1‐16
・設立   1952年(昭和27年)
・資本金  1億円
・売上高  33億9600万円
・従業員  130人
・事業内容 パッケージ印刷、ラベル印刷