山形コミュニティ新聞WEB版

編集長インタビュー

山形ピッグファーム(山辺町)社長 阿部 秀顕さん

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阿部 秀顕(あべ・ひであき) 1970年(昭和45年)山辺町生まれ。山辺中、寒河江高、岩手大農学部畜産学科を経て93年に父親が創業した山形ピッグファームへ。在籍しながら94~95年に米アイオワ州と英ヨークシャー州で豚の飼育や人工授精のノウハウを学んだ後に帰国、専務などを経て2010年に社長就任。県中小企業家同友会副代表理事も務める。51歳。

豚の持つ力でみんなを笑顔に
  課題解決型の企業を目指して

――御社の沿革から。

養豚で県内最大手

 「2年前に亡くなった父が1965年(昭和40年)にこの地で創業しました。当初はコメやサクランボ、ホップなどを栽培していたようですが、年間を通して出荷でき、収入も安定する養豚に切り替えていったと」
 「私は次男ですが、2歳上の兄が早々と『後は継がない』と宣言したので、高校時代から父から(後を継ぐよう)洗脳されてましたね(笑)。大学も畜産学科があるところを選びました」
 「豚舎は山辺町と東根市の3カ所にあり、常時約2万7000頭の豚を飼育、年間に約5万頭を出荷しています。養豚では県内最大手という位置づけでしょうか」
――ブランド豚「舞米豚」が有名ですよね。

「舞米豚」で知られ

 「舞米豚は山辺産の米を配合した飼料で肥育していて、出荷を始めたのは2008年から。一般公募で選んだ名前の由来は『山辺産の米を食べ、あまりの美味しさに舞い踊る豚』(苦笑)」
――豚が舞うの?ボクは美味しい豚を食べた人が舞うんだと(苦笑)
 「豚も美味しくなりますよ(笑)。米を食べてる豚はオレイン酸が増え、食味向上やヘルシーなことが証明されてます。舞米豚の出荷量は年間1万頭で、残りが通常の三元豚などです」
――当然、舞米豚の方が高く売れるんでしょ?
 「だけど、米を配合することによる飼料高を転嫁しきれていない面もあります。山辺産米の供給力の問題もあり、舞米豚をやみくもに増産するというわけにもいかない」
 「企業価値を高めるため、外食など川下分野への進出を打診されたり、検討したりもしますが、それよりも…」
――それよりも?

循環型の経営を追求

 「豚の持ってる力でみんなを笑顔にしたい。豚のふんを肥料に穀物を育て、それを飼料にすれば循環型の養豚経営につながるし、豚のふん尿を利用したバイオガス発電で脱炭素も期待できる」
 「食品廃棄物を使ったエコフィードにも挑戦していきたい。こうした取り組みはSDGs(国連の持続可能な開発目標)にも資するだろうと」
――なるほどねえ。
 「6次産業化で規模拡大や高付加価値化を追うより、社会課題を解決する企業になりたいかな」
――若いのに、実にしっかりしてるなあ。

地元に貢献したい

 「地元に貢献する存在にならないと、人材も確保できないですから」
――そういえば山辺町では10月18日告示、同23日投開票の…。
 「8年ぶりの町長選で」
――出れば?(苦笑)

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