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インフルエンザと肺炎

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 今年はインフルエンザが全国的に猛威を振るっています。県内でも11月29日、全域にインフルエンザ警報が発令されました。警報発令は4年ぶりとのことです。

肺炎球菌の侵入を促し

 インフルエンザに感染しても、早期に抗ウイルス薬(ウイルスが増殖するのを抑える薬剤)を使用すれば重篤な合併症を抑えることができます。

 ただ、インフルエンザ罹患(りかん)後に肺炎を発症することがあります。インフルエンザウイルスに感染すると、気道の上皮細胞が壊されて肺炎球菌などの細菌が肺に侵入しやすくなるからです。

その場合の症状

 このようにSASは厄介な病気ですが、治療法が確立されているため適切に対応すれば心配はありません。

 思い当たる症状がある方は、まずは自宅で簡易検査を行いましょう。ここでSASが疑われた場合、病院で1泊2日の日程で精密検査を行い、睡眠中に呼吸が止まったり、呼吸が浅くなったりする回数を調べて「軽症」「中等症」「重症」に区分します。

スペイン風邪の教訓

 1918年にインフルエンザの世界的大流行が起き、スペイン風邪と呼ばれました。全世界で感染者は5億人、死者は5000万~1億人とされ、日本では40万人近くの方が亡くなったといわれています。

 亡くなった方の肺を調べてみると、多くの人が肺炎球菌に感染していたことが分かりました。直接の死因はインフルエンザによるものではなく、肺炎球菌による細菌性肺炎だった可能性も指摘されています。

感染しない体づくりを

 もともと気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、間質性肺炎などの慢性呼吸器疾患がある方は、インフルエンザ罹患後にもとの疾患が増悪することもあります。

 日ごろから心がけることは、適切な栄養、睡眠、運動、ワクチンでインフルエンザに感染しない元気な体をつくることでしょう。

さとう花の森呼吸器内科クリニック 院長

佐藤 千紗(さとう ちさ)

山形市生まれ。山形西高から北里大医学部に進み、2006年に同大卒業後に山形済生病院で初期研修医。同病院呼吸器内科、山大附属病院第一内科などを経て22年12月に「さとう花の森呼吸器内科クリニック」を開院。日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医。

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