間質性肺炎
先日、歌手の八代亜紀さんが昨年末に73歳という若さで亡くなったことが分かりました。八代さんの命を奪ったのは「急速進行性間質性肺炎」とのことでした。
肺炎とは別の病気です
そもそも間質性肺炎とはどんな病気なのでしょうか。肺炎という名前がつくものの、通常の肺炎とは違って感染症ではありません。
肺は肺胞と呼ばれる小さな袋が集まっています。肺胞の壁にあたる部分を「間質」と呼びます。通常の肺炎が肺胞の中の感染による炎症なのに対し、間質性肺炎は間質に炎症が生じ、体に酸素をうまく取り込めなくなる病気です。悪化すると呼吸不全を引き起こすことがあります。
「原因不明」の場合も
原因が分かるタイプと分からないタイプの2種類があります。前者は関節リウマチなどの膠原病や塵肺、家の中のカビなどに対するアレルギー、薬剤などによって生じます。このタイプは血液検査や問診、身体所見などから明らかになります。
後者は「特発性肺炎」と呼ばれます。
八代さんのケースは?
八代さんが罹患された皮膚筋炎に伴う急速進行性間質性肺炎は前者の中でも特殊なタイプです。ステロイドホルモン剤、複数の免疫抑制剤を組み合わせて治療しますが、それでも救命できない方もいます。
慌てずに医師に相談を
ただ間質性肺炎と診断されても原因や進行度、治療については病態によって異なり、すべての方が進行性で命に関わるわけではありません。
自分がどのタイプなのか不安になる方もいらっしゃるでしょうが、経過を見るだけで済むのか、薬を使う必要があるのかなどは検査によって明らかになります。慌てる必要はありません。次の受診の際に主治医の先生に聞いてみることをお勧めします。
さとう花の森呼吸器内科クリニック 院長
佐藤 千紗(さとう ちさ)
山形市生まれ。山形西高から北里大医学部に進み、2006年に同大卒業後に山形済生病院で初期研修医。同病院呼吸器内科、山大附属病院第一内科などを経て22年12月に「さとう花の森呼吸器内科クリニック」を開院。日本内科学会総合内科専門医、日本呼吸器学会呼吸器専門医。