山形コミュニティ新聞WEB版

健康講座・医学のうんちく

EDと糖尿病

Share!

 勃起不全(ED)は加齢とともに発症率が高くなりますが、加齢以外の原因としては、糖尿病、肥満、高血圧、喫煙、メタボリック症候群などがあります。

米セントルイス大の調査

 米セントルイス大の研究チームが昨年、同大学が管理している大規模な医療データベースを用い、18~40歳の成人男性におけるEDと糖尿病との関連を検討しました。解析対象は、前糖尿病や糖尿病の既往のない男性23万1523人です。

糖尿病との関係は?

 その結果、EDと診断されたのは3131人。ED群は非ED群と比較して30歳以上、低テストステロン血症の人の割合が多く、肥満、高血圧、脂質異常症、うつ病、不安症の有病率も明らかに高めでした。

 また追跡調査を2年間続けた結果、前糖尿病・糖尿病の累積発症率はED群で8.1%、非ED群で3.2%とED群で高く、発症リスクは2.57倍でした。

スクリーニングの必要性

 さらに、EDの診断から前糖尿病・糖尿病の診断までの期間は、同日が36.5%、1カ月以内47.5%、3カ月以内55.7%、6カ月以内62.4%、9カ月以内67.8%、1年以内73.7%と比較的早く診断されていました。

 EDの診断は、未診断の前糖尿病・糖尿病の存在や発症リスクと関連していました。EDの診断が前糖尿病・糖尿病の早期診断につながる可能性がありますので、若年のED患者には糖尿病のスクリーニングを定期的に行う必要があるのかもしれません。

重大な疾患にも

 英キングス・カレッジ・ロンドンの研究チームも2019年、EDを発症すると心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳梗塞(のうこうそく)などの重大な心血管疾患を発症する確率が高まることを報告しています。前立腺肥大症や認知症の発生率も高くなるとしています。

山形徳洲会病院院長

笹川 五十次(ささがわ いそじ)

1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。

記事閲覧ランキング

  • 24時間
  • 週間