山形コミュニティ新聞WEB版

泌尿器講座

高尿酸血症と尿路結石

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 血液中の尿酸値が高まる「高尿酸血症」になると痛風になりやすいということは広く知られていますが、尿路結石の原因にもなることは意外に知られていないようです。

尿路結石の原因にも

 高尿酸血症になると尿中に排泄される尿酸も多くなり、尿酸結石という結石ができやすくなります。尿酸は尿の酸性が強いpH6未満だと溶解度が下がって結晶化しやすい一方、尿が中性~アルカリ性だとよく溶けるという特性があり、pH6以上で溶解度は指数関数的に上がります。
 ただ、pH7以上になると尿酸結石は免れるものの、新たな別の結石(リン酸マグネシウムアンモニウム結石)ができやすくなるため、過度のアルカリ化は×です。

カルシウム結石にも

 また、尿中の尿酸の濃度が高くなるとカルシウム結石もできやすくなることが知られています。
 これは尿中に溶解している尿酸が一定の濃度を超えるとシュウ酸カルシウムの溶解度が下がって結晶ができやすくなることが原因です。

節酒・減量・食事

 高尿酸血症を予防するポイントの一つはアルコールの量を減らすことです。というと多くの人が「ビールをやめる」とおっしゃいますが、アルコールは種類を問わず尿酸値を上昇させます。
 また内臓脂肪が多いと肝臓でのプリン体合成が増加するほか、すい臓から血液へのインスリン分泌が増える結果、腎臓での尿酸の再吸収が増えて血中の尿酸値が上昇してしまいます。
 節酒と減量を心がけ、食事では魚卵や干物、甲殻類、レバーなどプリン体の多い食品の摂りすぎに注意しましょう。

投薬治療の目安は

 通常、血液100ミリリットル当たりの尿酸値が9ミリグラム以上なら薬物療法の適応で、病型を調べたうえで尿酸生成抑制薬か尿酸排泄促進薬かを選択します。

いしい腎泌尿器科クリニック 院長

石井 達矢(いしい たつや)

1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。山形大学附属病院、山形市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て、2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士。日本泌尿器科学会認定専門医・指導医。日本医師会認定産業医。

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