山形コミュニティ新聞WEB版

泌尿器講座

夜間頻尿と睡眠障害

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 睡眠中に何度も尿意を催す「夜間頻尿」の原因は前立腺肥大症、過活動膀胱、夜間多尿など様々ですが、睡眠障害も原因のひとつです。

睡眠障害のない夜間頻尿

 夜間頻尿の患者さんは何度もトイレに起きるため睡眠不足になると思われがちですが、患者さんがつける排尿日誌を分析すると、頻尿で眠れないのではなく、眠りが浅い(睡眠障害)から頻尿になっていることが分かるケースがあります。
 睡眠に問題のない夜間多尿の患者さんの排尿日誌では、日中より夜間の方が1回の排尿量が多くなります。就寝中は生理的に膀胱容量が増加するからで、こういう場合は睡眠に問題はないと判断し夜間尿量を減らす指導を行います。

睡眠障害のある夜間頻尿

 一方、睡眠に問題がある患者さんの排尿日誌では、夜間の1回排尿量の生理的増加がなく、日中と同じか、昼間より少なくなります。これは様々な理由で眠りが浅くなっているため、昼間と同じぐらいの尿量で尿意を感じてしまい、目が覚めてしまうことが原因です。

原因と対策

 睡眠障害は就寝時間が早すぎても発生しがちです。80歳台の方が8時間熟睡するというのはそもそも難しいでしょう。決まった時間で眠るのではなく眠くなってから床にはいることも大切です。
 アルコールも睡眠の質を下げます。過度の飲酒や寝酒は控えましょう。
 仕事や家庭のことで悩みやストレスが強いと夜間頻尿になることがあります。夜間頻尿をきっかけに鬱(うつ)などのメンタルの問題が明るみになることもあります。心の健康を保つことも夜間頻尿対策には重要です。

1人で抱え込まず

 ストレスの原因を排除できれば夜間頻尿も解決するのですが、難しい場合は躊躇せず、心療内科や精神科を受診してカウンセリングや治療を受けましょう。

いしい腎泌尿器科クリニック 院長

石井 達矢(いしい たつや)

1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。山形大学附属病院、山形市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て、2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士。日本泌尿器科学会認定専門医・指導医。日本医師会認定産業医。

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